ドコモの通信障害で携帯回線冗長化の必要性を再認識

10/14の夜ドコモ回線に通信障害が発生し、それにより音声通話、データ通信ができなくなるユーザーが多数発生したばかりかデータ通信にドコモ回線を利用するキャッシュレス決済端末やシェアサイクルといったサービスが利用できなくなったりといった事態が発生し、完全復旧まで1日以上かかるというトラブルが起きました。

幸い私のドコモ系回線(IIJmio)は特にトラブルなくサービスを利用できましたし、そもそもメインのデータ回線はau系(UQ mobile)なので影響はありませんでしたが…

 

今回の通信障害、原因はドコモ内のIoT機器向けサービスで利用するサーバの切り替え時にトラブルが発生し、それにより輻輳が起きたからとのことですが

 

14日のドコモ通信障害は、IoT回線のメンテナンス工事が原因 - ケータイ Watch

 

今後このようなキャリアのネットワーク関連のトラブルが多発するようになるのは確実でしょう。

政府が「携帯料金を下げろ」とキャリアを恫喝し、キャリアが律儀にそれに従った事で携帯料金が下がりましたが、その結果今後キャリアの収益性が悪化するようなことになればサービス提供に必要なインフラの維持管理に金をかけられなくなる可能性が高いのですから当然です。

政権の短期的な人気取りのために民間企業を恫喝し、携帯料金を値下げさせるなどという資本主義社会の原則に反する行為を行ったツケとしか言いようがありません。

 

そういうわけで近い将来訪れる可能性が高い「携帯回線トラブル多発時代」に備えてやっておくべき事は

携帯回線の冗長化

これに尽きるでしょう。

つまりトラブル時に備え複数キャリアの携帯回線を持ち、実際にトラブルが発生した際には予備の回線に切り替えて利用できるような体制を作る、ということです。

政府がキャリアを恫喝したことで実現した携帯料金の値下がりによって複数回線を持つ経済的ハードルが下がった事で以前に比べ回線の冗長化がやりやすくなり、eSIMも全キャリアで提供されるようになったのは皮肉ですが…

ドコモ、SoftBankユーザーであればpovo 2.0を契約するだけで回線を冗長化できるので費用負担が非常に少なく(何と言っても基本料金ゼロというのは大きい)、物理SIM+eSIMのデュアルSIMである最近のiPhoneであればpovo 2.0をeSIMで契約すればSIM発送を待つことなく契約後即使えると回線の冗長化の観点からすれば理想的な環境といえます。

(少なくとも現状では)povo 2.0を契約する際のトラブルが多い、というのが難点ですが…

これまた基本料金ゼロの楽天モバイルもありですが、自社カバレッジが拡大した事によりパートナー回線(auローミング)を終了している地域が出てきているためカバレッジに不安があるのであまりおすすめできません。

auユーザーはpovo 2.0では冗長化にならず、楽天モバイルもパートナー回線はauなので基本的にドコモ系回線を契約することになりますが、eSIM対応のiPhoneを使っていて、音声通話/SMSは不要、データ通信ができればそれでいいというのならIIJmioのeSIMを契約するのが良さそう。

そうでなければドコモ回線利用のMVNOを契約することになりますが、いずれにしろpovo 2.0を使えない分コストが嵩むのが難ですが。

 

そして端末も本来であればそれぞれの回線毎に用意し、端末も冗長化するのがベストですが、複数回線を日常的に使い分けていて、複数の端末を運用、管理する事を厭わない、というのでなければデュアルSIM端末を使うのが現実的。

プライマリSIMスロットにメイン回線のSIM、セカンダリSIMスロットにバックアップ回線のSIMを挿し、通常は前者をデフォルトで使う設定にしておき、何らかの理由でそれが利用できなくなった際は後者を利用する設定に切り替えればいいわけです。

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オープンマーケット版AQUOS sense3(SH-M12)のプライマリSIMスロットに楽天モバイルセカンダリSIMスロットにUQ mobileのSIMを挿し、前者でデータ通信を行う設定にした状態(上)と後者でデータ通信を行う設定にした状態(下)。

DSDV対応端末なのでいずれのSIMでも4G通信ができ、VoLTE通話も可能。

今ではオープンマーケット向け(=非キャリア向け)のAndroid端末の多くがデュアルSIM対応になっているのでこのような運用はやりやすいですが、デュアルSIM対応のAndroid端末のほとんどがセカンダリSIMスロットとmicroSDカードスロットが排他となっており、デュアルSIM運用をするには外部ストレージを諦める必要があるのが難。

とは言えAndroid 4.4(KitKat)から始まった外部ストレージ周りの改悪のせいで現在ではサードパーティーアプリ(=ユーザーアプリ)から外部ストレージへ書き込みできないなど外部ストレージの使い勝手が極めて悪くなり、実質的に音楽、動画ファイルなどを保存しておく場所としてしか使えなくなったので、内蔵ストレージ容量が十分にあればそれ程外部ストレージにこだわる必要はないのかな、と思いますが。

そしてiPhoneですが、上記の通り日本市場向けの現行iPhoneは物理SIM+eSIMのデュアルSIMなのでSIMの組み合わせに制約があるため、基本的にはメイン回線は物理SIM、バックアップ回線はeSIMという形での運用となります。

中華圏向けのiPhoneは物理デュアルSIMで、日本でもイオシスなどの実店舗やEXPANSYSなどの海外通販で香港版の扱いがあるため入手自体はそれ程難しくないですが、当然日本版よりも割高ですし、あまり一般的とは言えませんからね(シャッター音を消せるというメリットもありますが)。

 

そしてSoftBank系や楽天モバイルをメイン回線として利用している人は(後者はまずいないと思いますが…)キャリアを乗り換えるのが賢明でしょう。

前者はこれまで災害等により回線が不通になった際の復旧に時間がかかる事が多かったですし、後者についてはカバレッジの問題があるといずれもドコモやauよりも回線品質が劣りますからね。

 

携帯回線のトラブルはいつ起こるか分かりませんし、災害のようなキャリア側に原因があるものだけではありませんから、大容量のモバイルバッテリーを準備するといった回線の冗長化以外の対策も取り、実際にトラブルが発生した際に慌てなくて済むようにしておきたいところです。