暫定税率復活に思う

暫定税率復活でガソリンが大幅値上げ」のニュースでただ今日本は大騒ぎですが、それを
見ていて私は10年前のインドネシアを思い出しました。
10年前のインドネシアはアジア経済危機の影響で通貨が暴落、経済が混乱し、それがスハルト
独裁体制の崩壊、民主化に繋がりました。
そのスハルト独裁体制が崩壊する原因となったジャカルタの暴動、その発端はガソリンの
大幅値上げに抗議する学生のデモでした。
インドネシアの経済危機の救済に入ったIMFが国家財政改善のため、ガソリンに対する補助金
削減を指示し、それによってガソリンが大幅に値上げされることになりました。
私はちょうどその時にインドネシアを旅していたのですが、いきなりバスの運賃が上がった
のを覚えています。
その後すぐにそれに抗議する学生のデモが発生。
そしてそれが最終的に首都ジャカルタでの大規模な暴動に発展し、チャイナタウンが焼き討ち
されるといった事態に。
その暴動によりスハルト独裁体制は崩壊し、民主化が達成されました。
ちなみに私がジャカルタを訪れ、そこからシンガポールに飛んだ数日後にその暴動が発生。
もう少しインドネシア出国が遅ければ巻き込まれるところでした。


インドネシア人はガソリンの値上げに怒り、それが民主化の力となりました。
ところが日本人はガソリンの値上げに怒らない、何もしない。
「政府のやることだからしょうがない」と最初からあきらめている。
本当不思議と言うしかありません。
まさしく日本は「不思議の国」です。


それにしても「暫定税率の復活」って言葉、何だか変だよなぁ。
「税」なんだから本来は「税率は〜%」といった使い方をするはずですが、「税率を復活させる」、
という用法は日本語としておかしいのでは、と思ってしまいます。
まぁ日本では国会議員もマスコミ関係者も「暫定」という言葉の意味が分からないのだから
そういう用法をするのも無理ないか。


最後に10年前の「民主化前夜」のインドネシアの写真を

スマトラ島中部の都市パダンの銀行に掲げられた「私はルピア(インドネシアの通貨)を愛して
います」という横断幕。
アジア経済危機の影響で通貨が暴落し、ルピアへの信頼が失われていくことを憂い、当時
銀行にはこのようなメッセージが掲げられることが多かった。
そういえばこの当時有名人(もちろん金持ち)が手持ちの外貨をルピアに両替し「私はルピア、
そしてインドネシアを愛している」ということを示すパフォーマンスが流行っていたなぁ。

暴動が起こる数日前、ジャカルタのチャイナタウン(グロドック地区)で食べた焼き餃子。
この時はまさかチャイナタウンが暴動で焼き討ちされる、とは思ってもみなかった。