今回のバンコク旅行で考えさせられたこと

今回バンコクに行く前は昨今の経済危機に豚インフルエンザ、そして政局の混乱といったこともあり、旅行者は少ないのでは、と思っていました。
航空券を予約した際に座席指定をしてみるとかなり席が空いていましたし(おかげで前の方の席を確保できた)、実際の乗客数もそれ程ではなく(ただし帰りの便はほぼ満席)、バンコクに着いたら着いたでイミグレは空いていました。
しかしそういう印象を持ったのはそこまで。
到着ロビーに出て、エアポートバス乗り場へ行くと様相は一変。
何とそこには多くの欧米人バックパッカーがいて、カオサン行きのエアポートバスを待っていました。
そして満席のバスでカオサンへ向かうと、そこは以前と変わらず世界中からの旅行者で賑わうカオサンの姿が。

以前同様旅行者で賑わうカオサンロード。
経済危機で大きなダメージを受けているはずの欧米からの旅行者の数は以前とほとんど変わらないかな、と思ったものの、日本人や韓国人は間違いなく減っているな、という印象を受けました。
まぁウォン安で海外旅行がしにくくなった韓国人が減っているのは分かりますが(とにかく大幅に減っている)、円高で本来なら海外旅行に有利なはずの日本人が減っているのはどうしたことか。


バンコクの街自体も「経済危機だ」「不景気だ」といった感じはあまりなく、以前同様のバンコク、といった感じでした。
「旅行者」としての視点で見た限りでは「これのどこが経済危機なのか」という印象を受けました。
実際には経済、景気状況は悪いはずですが、そのような雰囲気が街、人から感じられないのです。
かつてのアジア経済危機の時とは全く違います。
日本で「経済危機だ!!」「不景気だ!!」といった報道ばかり見聞きさせれられている身には不思議な感じがしました。


そして豚インフルエンザに関してもちょうどバンコクに着いた日にタイで最初の豚インフルエンザによる死者が出た、という報道があったり(タイの英字紙Bangkok Postに出ていた)、True Moveでローミングすると豚インフルエンザへの注意を呼びかけるSMSが届いたりしましたが、だからといって人々がパニックになったり、マスクを買い占めたりといったことは全くなく、街はいたって平穏でした。

これがTrue Moveから届いたSMS。
確かに多くの不特定多数の人と接する仕事に就いている人(例えばイミグレ職員とか)はマスクをしていたりしましたが、それ以外でマスクをしている人はほとんどいませんでした。
タイ人は今回の経済危機、豚インフルエンザの流行の中でも冷静に、そして「マイペンライ」で生きているな、ということを強く感じました。


それに引き替え日本ではマスコミが過剰に危機を煽り、人々を不安にさせ、萎縮させている。
何が嬉しくてそんなことをするのか、と不思議でたまりません。
マイペンライ」のタイと不安が支配する日本、この違いは一体何なのか?


そう言えばマイケル・ムーア監督の映画「Sicko」の中にマイケル・ムーアがイギリスの元国会議員にインタビューするシーンがあるのですが、そこでその元国会議員が「教育レベルが高く、健康で、自信を持っている国民を統治するのは大変だ」「国民を支配する一番楽な方法は国民を不安にさせ、萎縮させること」といったことを言っているのを思い出しました。
日本は全くもってそれを地で行っていますね。
権力者がその権力基盤を維持するために国民を愚民化し、過剰に危機を煽って不安にさせ、萎縮させている。
そして国民もそういった権力の横暴に対して従順で何もせず、「しかたないや」と最初から諦めている。
このような国、国民は世界中探しても他にないでしょう。
外の世界の視点から見ると不思議でなりません。


これが今回の旅で一番考えさせられたことでした。
いつものことですが、本当こんな国にはうんざりさせられますね。