今頃こんな値段で発売されてもねぇ

「日本でも発売される」という発表からどれぐらい経ったのでしょうか。
ようやく日本でもNexus 4が発売されるそうです。


Androidスマートフォン「Nexus 4」、日本でも30日に発売 - ケータイ Watch


しかも値段は驚きの16GBストレージモデルが49800円!!
上記のケータイWatchの記事には「Nexus 4の価格が一般的なAndroid端末よりも安価」と書いてありますが、何言ってるんだよ、と言いたくなります。


Google、欧米でスマートフォン「Nexus 4」を大幅値下げ - 199ドルから | マイナビニュース


にあるように海外での価格は最近値下げされ、同じ16GBストレージモデルがUS$249と、日本価格のほぼ半額なのですから。
ちなみに1ShopMobileでは現在US$349で販売されています(とは言え恐らくこれも価格改正が入り、値下がりするでしょう)。
LTE非対応、外部ストレージ(MicroSD/SDHCカード)非対応、バッテリー脱着不可といった欠点があるにもかかわらず、5万円、という値段で誰が買うの? と言わざるを得ません。
しかもNexus 4は海外版であってもAndroid 4.3にアップデートすると技適マークが表示できるようになりますから、海外版を購入して日本で利用しても100%合法、ということもあり、それなら素直に海外版を買うのがベター。
現在の1ShopMobile価格で比較しても15000円程、もし価格改正が入ればもっと安く買えるのであれば当然その方が得ですからね。


そして日本版Nexus 4の価格5万円(US$500)を出せばどんな海外端末が買えるかを見てみると…
(価格は全て1ShopMobileのもの)
例えばXperia Z LTE版(C6603)がUS$489。
2100MHz(Band 1)を含むLTE対応、フルHDディスプレイ搭載、外部ストレージ対応、防水などNexus 4に対するアドバンテージは多数で、同じぐらいの値段だったら普通こっち買うでしょ、と言いたくなります。
そしてXperia ZR LTE版(C5503)がUS$439、というのもおもしろいかも知れません。
確かauから発売されているXperia ULのベース端末で、Xperia Zと比べると防水がありませんが、それ以外の端末スペックはほぼ同等ですし(LTE2100MHz Band 1にも対応)、Xperia Zにはないハードウェアシャッターボタンがあるなどいいところもあります。
日本では発売されていないモデルですから、人とは違う端末が持ちたい、という人にアピールできる端末だと思います。
日本非発売モデル、という意味ではHTC One Mini 601s LTE(US$485)もよさそうです。
質感の高いコンパクトな端末で、これもLTE 2100MHz対応、ということでドコモLTEの利用ができますから、悪くはないですね。
5万円は越えてしまいますが、Galaxy S4国際LTE版(GT-I9505)がUS$559、Xperia Z Ultra 3G版(C6802)がUS$589と最新のハイエンド端末も1万円以内の追加で買えてしまうことを考えれば、いかに日本版Nexus 4が高いかが分かると思います。


とここで先程のエントリから続きます。
これ程までにNexus 4の日本発売が遅れ、しかも価格が非常に高くなってしまったことの裏には日本の携帯キャリア(MNO)が絡んでいるのではないか、という疑いを私は持っています。
Nexus 4の開発元のLGはドコモとau向けに端末を供給しています。
そのためこれらキャリアがNexus 4の日本発売に対していい顔をせず、日本での発売交渉に時間がかかった、というのがまず考えられます。
そしてNexus 4Nexus 7とは異なりGoogleが直接販売せず、家電量販店などでの取扱いとなっています。
これも日本国内キャリアとの関係を悪化させたくない、というGoogleの配慮があってそうなったのではないか、と思われます。
Googleが直接販売にタッチしないことでキャリアに対し「あなた方の商売を邪魔していませんよ」というアピールをしているのでは、と考えられるのです。
それに対しNexus 7は日本国内キャリアに対し端末を供給していないASUSが開発元ですから、キャリアの機嫌を伺うことなく普通にGoogle Playで売っている、というわけです。
でもこれまたドコモとauに端末を供給しているサムスン製の端末であるNexus 10Google Playで売っていますから、そうではないような気もしますが…
タブレットだから気にしていない?
とは言えこれは単なる私の妄想で、かなり穿った見方をしていますから、そうではない可能性もありますが、恐らくそうなんじゃないか、と思わずにはいられません。
だって「全社が談合して横並びの割高な利用料金をユーザーに強制して搾取している」日本の携帯キャリアですから、やりそうなことです。


そしてNexus 4Android 4.3へのアップデートでFOMAプラス対応になった(W-CDMA Band 19で技適を通過している)ということになっていますが、実際には対応していない可能性が高そう。
調べてみてもAndroid 4.3へアップデートしたNexus 4FOMAプラスを掴んだ、という確かな情報は見つかりませんし(情報をお持ちの方はコメントまたはTwitterで情報を頂けると幸いです)、W-CDMA Band 6/19で技適を通過していても実際にはFOMAプラス非対応の端末(iPad Cellularモデルとか)がありますから。
そういったこともあり、ドコモとしては自社及び自社回線を利用するMVNO事業者以外からFOMAプラス対応の端末を発売されるのが気に食わないため、端末メーカーに圧力をかけてそれを阻止しているのではないか、と思ってしまうのです。
かつて隠れFOMAプラス対応端末を出していたサムスンソニエリ/ソニーも2012年以降はサッパリですし(それ故Galaxy S II GT-I9100とGalaxy Note GT-N7000は私の中では神機)、あのAppleですら屈服させてしまったのですから。
では未だに隠れFOMAプラス対応端末を出しているRIM/BlackBerryはどうなんだ、ということになりますが…


というわけでもしFOMAプラス対応であれば海外版を買うのはアリ、と言えそうですが、そうでなければ今となっては買う価値はほとんどない、というのがNexus 4に対する私の意見です。
ましてや日本版の価格ではFOMAプラス対応であるか否か以前の問題。ボッタクリ。
結局のところ「日本ではSIMロックフリー端末は需要がない」というこれまでの一般論を改めて実証するだけの結果に終わってしまいそうです。