糸冬:WiMAX

WiMAXのいいところを全て殺してしまう愚行にしか見えないんだけど…
UQが10/31からWiMAX 2+サービスを開始する、という発表を見て私が抱いた感想です。


UQ、「WiMAX 2+」サービスを10月31日から提供開始 〜下り110Mbpsで月額3,880円から - PC Watch
http://www.wimax2plus.jp/lp/wimax2plus/top.html(WiMAX 2+公式ページ)



他のモバイル系ネットサービスに対するWiMAXの明確なメリットと言えば「通信量制限なし」「契約縛りが緩い」だと私は思うのですが、WiMAX 2+によっていずれも消えてしまいました。
まずは「通信量制限なし」
WiMAXの通信に関してはこれまで通りですが、WiMAX 2+の通信にはサービス開始から2年間は通信量制限はないものの、その後は従量制に切り替わるとのこと。
しかもWiMAX 2+接続を使いすぎると(3日間で1GB以上)速度制限もかかるようになるそうで、これでは携帯電話系のネットサービスと同じで、WiMAXのメリットが完全に消えてしまった、といっても過言ではないでしょう。
そうなってもWiMAXに切り替えれば定額制で使い続けられる、とは言いますが、WiMAXサービスはいずれ完全にWiMAX 2+に切り替えられてしまうわけで…


次に「契約縛りが短い」
WiMAXは当初契約縛りを課さず、3年前に私が最初にWireless GateWiMAXを契約した際ヨドバシ新宿西口のWiMAX担当店員氏が「WiMAXは携帯キャリアとは異なり、契約縛りを導入する予定はない」と言っていたにもかかわらずその後1年縛り(年間パスポート契約)が導入されました。
それでも縛り期間は1年間と携帯キャリアの2年よりは短く、良心的ではあったのですが、WiMAX 2+では携帯キャリア同様の2年縛りになってしまい、「縛りが緩い」というメリットは完全に消滅。
そして縛りなしの料金プランとの価格差もWiMAXが600円(月額3880円/4480円、UQ及びUQゲートウェイを利用するMVNOWireless GateBIC WiMAXなど)であるのに対しWiMAX 2+は1575円(月額3880円/5455円)と差が大きくなり、縛りなしの料金プランを選びづらくなってしまいました。
私はURoad-Homeの1年縛りが終了した後縛りなしプランに変更し、いつでも固定回線に乗り換えられるようにしていたのですが、WiMAX 2+だとこういった使い方も料金的に厳しくなります。


そもそもWiMAXはモバイル回線としても利用できる自宅回線、という使われ方も多いはずですが(私もそうでしたし)、なぜUQWiMAX 2+をそういった目的には全く向かないサービス形態に変えてしまったのかが私には不思議でなりません。
自宅でWiFiアクセスポイントを検索すると「URoadなんとか」というSSIDが見えますし(007Zなんちゃら、というSSIDも見える:SoftBankは止めようよ)、先日天神ビックでFTTHを契約した際にも店員氏が「固定回線はモバイル回線(主にWiMAX)に食われ気味で苦戦中」と言っていたことからもWiMAXを自宅回線に、というユーザーは多い、ということが裏付けられていますから、どうしてそういったユーザーをないがしろにするようなサービス形態にしてしまうのか、というわけです。
私の環境では下り10M/上り3M程出ていましたから(ただし23:00以降を除く)、一般的なネット利用にはさほど困らない程度の通信速度が確保されていますし、モバイル利用も可能ですから旅行、帰省時などにそれを持ち出して利用することも可能、となれば一人暮らしでノートPC1台+スマホ1台程度であればメインのネット回線として固定回線ではなくこちらを選ぶ、というのは理に適っています。
これも「通信量制限なし」「利用プロトコル制限なし」というWiMAXのメリットがあってこそ。
それにもかかわらずWiMAX 2+ではそれを捨ててしまうのですから、UQは一体何を考えているのか、と思わずにはいられないのです。
WiMAX 2+は通信方式として携帯系のTD-LTEを採用したことにより、サービス形態も携帯電話のそれになってしまった、ということでしょうか。
つい最近までユーザーだった私としては残念です。


それにしてもWiMAX 2+はサービス開始当初は下り最大110Mbps(その後220Mbps、最終的には1Gbpsになる予定)とのことですが、なぜか上りはWiMAXよりも遅い最大10Mbps(WiMAXは15.4Mbps)。
今やクラウド時代、上り通信速度の重要性は以前に比べ大幅に増しているはずですが、WiMAX 2+はその流れに逆行し、上り速度はWiMAXよりも劣る、というおかしな仕様になっています。
「下りの最高速度を重視してこの仕様にした」ということらしいですが、下りは(FDD-)LTEで30Mbpsオーバーと一般的なネット利用には十分すぎる速度が出るようになってきていますから、もう少し上りを重視した仕様にしてもいいはずなのに… と思うのですが。


というわけでWiMAX 2+は通信速度が高速になるものの(ただし下りのみ)、WiMAXが持つメリットの多くが消えてしまったので、個人的にはあまり魅力を感じられません。
結局のところWiMAX 2+はauのデータ通信オフロード先、という使われ方がメインになるのかな、という気がします。
明後日のauの新製品発表会でLTE/WiMAX 2+両対応のスマホが出る、という話もありますしね。