UQ Mobileの機能追加とそれに対する懸念

機能的には競合MVNO事業者に比べ劣るものの、平日昼食時間帯においても通信速度が極端に低下することなくキャリア(MNO)純正契約同様の通信パフォーマンスで利用できる、という唯一無二の特徴を持つau回線利用のMVNOUQ Mobile
KDDIバリューイネイブラー(KVE)による運営からUQコミュニケーションズの直接運営事業になったことにより新たな展開が期待されていましたが、ようやくその成果が出てきました。
11/1から余った従量データを翌月に繰り越せるようになり(データ高速プラン契約者のみ)、従量データの追加購入にも対応、そして高速従量データ/低速定額データ(データ高速プランの場合200Kbps)を切り替えて利用できるようにするといった機能追加を行なう、という発表が先日なされました。


UQ mobileに新機能「データチャージ」「くりこし」「ターボ」 - ケータイ Watch
http://www.uqwimax.jp/annai/news_release/201510222.html(プレスリリース)


とは言え従量データ量別に複数のプランの選択肢がなく、プラン変更もできない、高速従量データ/低速定額データの切り替えは専用Webサイト上で行う仕様で、それ用のスマホアプリがないので運用しづらい、といった欠点はありますが、これまで機能的に貧弱なこともあり一部で「最低のMVNO」などと酷評されていたりしましたから、ようやく競合他社と競争できるようになった、と言えそうです。
私個人としては他のMVNOでは極端に通信速度が低下し、下り1Mbps以下にまで落ち込むこともある平日昼食時間帯においてもそれ程通信速度が落ち込むこともなく快適に利用できるのは唯一無二であり、通信速度を重視するのであればこれ以外の選択肢はないと思っているので「最低のMVNO」というのはひどい言われ方だなぁ、と思っていますが。

今日のお昼にスピードテストした結果ですが、UQ Mobile以外のMVNOでは出せない通信速度です。
MVNOでは一般的に提供されるようになった余った従量データの繰り越し、高速従量データ/低速定額データの切り替えといった機能はMNO純正契約では提供されないのに、それができないMVNOを「低機能」というのはいかがなものか、と個人的には思っています。
私はUQ Mobileのサービス、端的に言うと通信パフォーマンスに非常に満足していることもあり、MNOとそれ程機能が変わらないことについてダンマリしておいて過度に悪く言うブログやIT系情報サイト等が気に入らないなぁ、と思っているので思わず愚痴ってしまいました。


とは言え今回の機能追加はいいことばかりではなく、それによる懸念も当然あります。
上記のような機能追加を行なうには現在のようなauゲートウェイへ直結、という接続形態は取れなくなり、UQゲートウェイ経由で接続される、という形に変更されると思われますが、そうなると他のMVNO同様平日昼食時間帯に通信速度が極端に低下する症状が出るようになる可能性大。
UQ Mobileの混雑時における通信パフォーマンスの高さはauゲートウェイと直結していることによってもたらされている、と言えるので、キャリアのネットワークとインターネットとの間にMVNOゲートウェイが挟まるようになると当然そこがボトルネックになりますから。
そしてこれまで他のMVNOに比べ機能的に劣る上に端末調達の面でも不利なこともありユーザーが少なかった、というのも通信パフォーマンスの高さの理由の一つと言えるので、今回の機能追加によって魅力が高まり、それによりユーザー数が増えればこれまた当然通信パフォーマンスの低下要因になります。
現ユーザーとしては機能追加によって使い勝手が良くなるのは嬉しいが、ゲートウェイ変更等によって通信パフォーマンスが低下する可能性があるのは悩ましいところです。


個人的には今回の機能追加によってこれまで魅力に欠けたデータ無制限プランに旨みが出てきたのでは、と思うようになりました。
現行では定額制500Kbps通信のみが利用でき、高速通信を利用したいと思っても従量データを追加購入し、切り替えて利用するといったことができないため使い勝手が悪いのですが、今回の機能追加によってストリーミング利用に十分な速度と言える500Kbpsによる通信と、従量データを追加購入することによって通信速度が必要な時にはそれに切り替えて利用する、という運用ができるようになり、かなり使い勝手が高まります。
500KbpsもあればGoogle Play Musicといった音楽ストリーミングだけでなく「YouTubeを聴く(=音楽プレイヤーとして使う)」という使い方にも対応できますからね。


今回の機能追加によってようやく他のMVNOに追いついてきたUQ Mobileですが、とは言えまだまだだな、と感じるのは確か。
高速従量データ/低速定額データの切り替えなどの機能を提供するスマホアプリやより多い/少ない従量データ量がいい、という人向けに複数の料金プランとプラン変更への対応、そしてVoLTE対応SIMの提供やiOS8以降のiOS端末で利用するためのCellular Payload対応接続プロファイルの提供といったことが必要でしょう。
あとChromeで契約者向けサービスサイトMy UQ Mobileへログインしようとするとシステムエラーが出てログインできない症状が出る、というのもいい加減直して欲しい、と思っています。

AndroidChromeではログインできるのにPC版ではできない、ということでアドオン周りが原因だろう、ということでインストールしているアドオンを一つ一つ有効/無効を切り替えて問題のアドオンを見つけそれを無効にして問題解決、と思ったらそれ以外のアドオンを有効にするとまたログインできなくなる、という始末で、結局諦めてしまいました。
Chromeはグローバルではシェア1位、日本でもIEに次ぐシェア2位のブラウザで、アドオンも豊富なのでカスタマイズ性も高く、それ故この問題で困っている人は多いと思われるのに未だにきちんと対応していない、というのはいただけないな、と言わざるを得ません。
これに限らず日本ではIE以外のブラウザ(特にFirefox)との相性が悪く「IE使え」と言われている気がしてしまうWebサービスが多いのには本当閉口させられます。
そしてUQへの事業移管後公式Twitterアカウントの利用を止めてしまい、本家UQのアカウントへ統合されてしまったのも情報発信の観点からみるといかがなものか、と思いますね。
アカウント自体はまだあるようですから、利用を再開してUQ Mobileの情報発信を強化すべきでしょう。
とは言え一番気になるのは11月以降平日昼食時間帯といった混雑時に他のMVNO同様極端に速度低下するようになってしまうのか、ということ。
もしそうなってしまえばそれはすなわちUQ Mobileの唯一無二の利点が失われてしまう、ということであり、機能的にまだまだ劣ることもあって競争に負け淘汰される、ということになりかねません。
とは言えUQau回線利用のMVNOが出てくる前から自社のTD-LTE(WiMAX2+)ネットワークとauFDD-LTEネットワーク両方を利用するサービス(ハイスピードプラスエリアモード)を提供していますから、それ程気にすることはないのかも知れませんし、そう期待したいところです。


以前も書きましたが、私は今利用しているドコモ純正データ回線を縛りが終了する来年4月にMVNOの音声プランにMNPする予定。
そしてその移行先はUQ Mobileにしようと思っているものの、上記過去エントリで書いた通りUQ Mobileの将来に不安を感じていることもあり、ドコモ回線利用のMVNOにすべきか悩んでいるところなので、11月以降のUQ Mobileがどうなっていくのかについては注意深く見ていきたいですし、その結果で実際のMNP先を決めたいところです。
11/1以降の平日昼食時間帯の通信パフォーマンスや接続ゲートウェイがどうなったか、といったことについては確認出来次第情報を出すことにします。