圧倒的なLTEカバレッジと通信パフォーマンス:UQ Mobile

先日契約し、それ向けの端末も入手して利用開始したUQ Mobile
他のMVNO事業者と異なりau回線を利用するサービス、ということでそのカバレッジと通信パフォーマンスが気になるところ。
というわけで今回はそれについて書いてみることにします。


auLTEカバレッジサービス開始時にエントリした通り圧倒的で、それは今でも変わりませんが、ドコモもそれに対抗すべくカバレッジを拡大してきています。
それでもそもそもの室内カバレッジの弱さもあり、日常的に不便を強いられていることはこの時書いた通り。
今回UQ Mobileを契約した理由の一つがこの問題への解決策として、というものですが、ドコモ回線の電波状況の悪さで悩まされている場所のほとんどでau回線は問題ない電波強度を確保し、支障なく利用可能。
さすがにどの携帯キャリアの電波状況もイマイチな福岡市総合図書館内では圏外になってしまうケースもありましたが、ほぼ通信が不可能なドコモよりはマシ。
未だに他キャリアが追いつけない圧倒的なLTEカバレッジを誇り、CDMA2000に対応せず全ての通信をLTEで行なう仕様の端末を出しているauだけのことはあります。
というわけで少なくとも都市部においてはカバレッジに関しての不満はまずない、と言えるでしょう。
これなら帰省時に実家で利用するネット回線としても問題なさそうです(GWあたり帰省して確認しないと)。
とは言え離島や山村部のそのまた辺境部ではauはそもそも3Gですらカバーされておらず、利用できるのはドコモ3Gのみ、という場所も多数あるため、そういうところではやはりドコモが優位ですが。
しかしちょっと気になるのはカバレッジ的には全く問題ない場所なのに突然アンテナ表示が消え、電波強度が0dBmと表示される、といった症状が出ることがあること。

とは言えこうなっても電波状態に問題がなければすぐに復帰しますし、この状態でも通信は可能ですが、最初にこれを見た時にはびっくりしました。
それ以外にも実際の電波強度とアンテナ表示が一致しないことがしばしばあったりと電波受信周りの挙動がおかしい感じがしますが、恐らくこれはLTEのみの対応(=CDMA2000を利用できない)というサービスの仕様が原因のような気がします。
余談ですがXperia UL(というかau向け端末の多く)ではTestModeを呼び出すコマンド(*#*#4636#*#*)が利用できず、TestModeを呼び出すにはそれ用のアプリ(TelInfoなど)を使う必要があります。


そして通信パフォーマンスですが、これが驚きの結果に。
ドコモ回線を利用するMVNOサービスは混雑時(特に平日の昼食時間帯、12:00〜13:00)になると通信パフォーマンスが著しく低下し、MVNO事業者によっては利用に堪えない程遅くなってしまうことも(日本通信、お前だよ)。
この時間帯はネット動画の視聴など大量のデータを長時間流すようなサービスの利用は論外、というのがドコモ回線利用のMVNOサービスを利用する上での常識、といえますが、UQ Mobileはそういったことがほとんどなく、通常時とほぼ変わらない通信速度が出ます。

平日昼食時間帯にUQ MobileIIJmio両者の通信速度を比較してみた結果。
左がUQ Mobile、右がIIJmioですが、IIJmioが1Mbps程度まで下り通信速度が低下しているのに対し、UQ Mobileは40Mbps超えと通信速度の低下が全くない、といっていい程の結果に。
日と場所を変えて何度もスピードテストをやってみましたが、10Mbps以下の下り速度しか出ない、ということは電波状態が悪い場所以外では一度もなく、ドコモ回線利用のMVNOサービスと比べ通信パフォーマンスの差は歴然。
当然実際の利用で問題が出ることは全くと言っていい程なく、ドコモ回線利用のMVNOサービスでは論外、といえるネット動画の視聴もOK。
試しに1/19の12:00から行なわれたauの新製品発表会のUst生中継をUQ Mobile回線経由で視聴してみましたが、コマ落ちしたりバッファリングで再生が止まったりといったことは一度もなく、固定回線につながったWiFi経由で観ているのとほとんど変わらない視聴環境が得られました。
以前同じようなことをIIJmio回線でやってみたことがありますが(この時視聴したのはドコモの新製品発表会のUst生中継)、コマ落ちやバッファリングによる再生停止が頻発し、視聴に堪えられるとは言えない状態でした。
ドコモ回線利用のMVNOサービスでは通信速度が大幅に低下してしまう混雑時でも通信速度が落ちず、ネット動画の再生も問題なくこなすUQ Mobile恐るべし、としか言いようがないですね。
しかし通信があまりにも快適なため、調子に乗って使っていると利用データ量がガンガン増えていくのが困りものですが…
通信速度が高速なので、スピードテスト一回で80MB程消費することがあるのが痛い。


それにしてもこれ程までに速度低下がなく、快適に利用できるのはまだサービス開始から1ヶ月程しか経っておらず、ユーザー数が少ない、というのが大きいでしょうが、もう一つ気になることがあります。
それはUQ Mobile回線利用時のリモートホスト名。

ドメイン名が「au-net.ne.jp」となっていることからau本体のゲートウェイに直結している、ということが分かります。
つまりUQ Mobileはドコモ回線利用のMVNOサービスとは異なり、MNOの施設とMVNO事業者側が用意するゲートウェイとを結ぶ部分がボトルネックになることがなく、それが混雑時の通信パフォーマンスの高さを生み出す理由、ということになります。
auゲートウェイと直結している、ということは通信パフォーマンスは基本的にau純正回線と同じ、といえるわけで、それを1060円/月で2GB利用できる、というのは激安で、非常にコストパフォーマンスが高い、といえるでしょう。
au純正契約だと2GBのデータプランは3780円/月(それに加え音声通話の基本料、ISP料金がかかる)もしますからね。
ならばau純正契約でも2GBのデータプランを2000円以下/月程度の料金で提供できるはずですが…
そういうことから考えるとUQ Mobileau回線利用のMVNO、というよりはむしろauのサブブランド、と見た方がいいのかも知れません。
とは言えこれはUQ Mobile側がサービス提供開始を急ぐあまりまだ自前のゲートウェイを準備できておらず、暫定的にauゲートウェイを利用しているだけの可能性もあるので、今後も同じような通信パフォーマンスを維持できる保証は全くありませんが。
これについては今後も定期的にスピードテストをしたりして、状況の変化を見ていきたいと思っています。


このUQ Mobile、通信パフォーマンスの観点では現在最強のMVNO、と言えるのは間違いありません。
何と言っても混雑時でも速度低下がほとんどなく、au純正回線と同等の通信パフォーマンスを得られるのですから当然でしょう。
そしてauは最強のLTEカバレッジを持ち、エリアの穴も非常に少ない、というのもその理由。
しかしau回線利用、というのは端末調達の面で不利(基本的にau LTE端末の白ロム頼り)という欠点を持つわけですが、これだけ高い通信パフォーマンスが得られるとなるとそれを何とかしてでも導入する価値があるでしょう。
とは言え回線契約時のエントリに書いた通り、UQ Mobileは突貫工事でサービス開始にこぎ着けた、という印象が強いサービスで、スターターパックにSIMが同梱されておらず、開通作業をしてすぐに利用開始、といったことができない、料金プランの選択肢が少ない、microSIMしか用意されていない、データ契約であっても本人確認書類のアップロードが必要、といった前述の過去エントリに書いたこと以外にも回線管理のための会員ページ(my UQ Mobile)の内容が貧弱で、しかもChromeではログインできない、といった問題も(IEはもちろんFirefoxでもOKなのに…)。
ChromeFirefoxを追い越し、IEに次ぐシェア2位のブラウザなのにこの仕打ちはないだろ、と思わずにはいられません。
早急にこういった問題、弱点とされるところを改善し、サービス内容の充実を図ってもらいたいところです。
サービス管理用のスマホアプリが欲しいですし、従量データのON/OFFを切り替えられるようにもして欲しいところ。
そうしないとMVNO事業者間の競争が激しい昨今、通信パフォーマンスの良さだけでは更なるシェア拡大は厳しい、と思わずにはいられません。


とは言えこのUQ Mobile回線、私にとってはドコモ回線の弱点を埋めてくれる非常に有用なサービス、ということで今後も最大限活用していくことになりそうです。