b-mobile SプリペイドデータSIMをSIMフリーAndroid端末で使う

先日購入した日本通信が提供するSoftBank回線利用のMVNOプリペイドデータSIM、b-mobile Sプリペイド(15日間有効、1GB)を当初の予定通りお盆前に回線開通してあれこれ試していましたが、今回はそれをSIMフリーAndroid端末で使ってみた話をすることにします。
そのSIMを購入した際の話はこちら。


SoftBank回線利用プリペイドデータSIMを購入


回線開通はかつての同じく日本通信のドコモ回線利用プリペイドデータSIMであるb-mobile Fairなどと同じように回線開通用のフリーダイヤル番号に(日本の)携帯/PHS回線から番号通知して電話をかけ、SIMに割り当てられている携帯番号を音声ガイダンスに従って入力する方法となります。
SoftBankiOS端末向けのSIMだからといって回線開通にSoftBankiOS端末が必要、ということはありません。
開通手続きには1時間程かかるので(開通手続きが当日開通受付時間外であれば翌日になる)、それを待ってからSIMを端末に挿して電源を入れるとSoftBankの3G回線を掴み、無事回線が開通。
そしてAPNを設定するとLTE回線に切り替わり、LTEデータ通信が可能になりました。
ポストペイド版が登場した際にSIMフリーAndroid端末でも利用できる、という情報を得ていたのでプリペイド版でも同じだろう、と思っていましたがその通りでしたね。
説明書には「最初に日本通信のアカウント(My b-mobile)を作成せよ」と書かれていますが、単に通信サービスを利用するだけであれば不要。
プリペイドで使い捨ての回線のためにわざわざアカウントを作成する必要なんかない、と思っていたこともあり私はアカウント作成はしませんでした。
ただしこの場合データ残量の確認等ができないので少々不便、ということに留意する必要があります。


APN設定は日本通信のサイトからダウンロードできるiOS端末向けの接続プロファイル(mobileconfigファイル)に書かれていますし、ググれば情報が出てくるはずなので割愛してもいいのですが、一応書いておきます。

APN:sb.mvno
ユーザー名:bmobile@4g
パスワード:bmobile
認証タイプ:CHAP(「PAPまたはCHAP」でも可)


私は事前にapns-conf.xmlファイルをゴニョゴニョして(要root)APN設定をプリセットしておいたので、それを選択するだけでつながりました。


それでは通信速度はどうでしょうか。

(左:OOKLA Speedtest、右:4Gmark)
平日のランチタイムにスピードテストしても他社(ドコモ、au)回線利用のMVNOとは異なり、通信速度が極端に低下する症状は出ず、利用感も快適。
4Gmarkの動画読み込みテストが遅くなる、といったこともないですから、特にプロトコル制限をしているといったこともないようです。
恐らくSoftBankiOS端末向けを謳っているSIMなので利用者が非常に少ないことが原因でしょう。
ただ一度ランチタイムに上り速度が非常に低速になったのが気になるところですが…
そして上り通信速度が非常に高速なのもこのSIMの特徴。

上りが30Mbpsオーバー、というのは他社回線では見たことがなく、異常な程、と言っていいぐらい高速です。


しかし非常に良い通信条件を揃えてスピードテストしてみると、それとは違った面が見えてきます。

混雑時間帯外にSoftBankFDD-LTE網で最もバンド幅が広い(15MHz)Band 1(2100MHz)の基地局に電波強度-70dBm以上で接続されているという非常に良い通信条件の状態でOOKLA Speedtest(左)、4Gmark(右)を実行した結果。
どちらもあまり結果が振るわず、4Gmarkの結果はUQ Mobileはおろか良い通信条件の際のIIJmio(4Gmarkスコア2万程)にも負けています。

何度かスピードテストをしてみても下り通信速度は大体25Mbps程で、何だか下り通信速度の上限が30Mbps辺りにあるような感じがします(一番下はHSPA+接続時の結果)。
ちなみにIIJmioの下り通信速度の上限は経験上の値で45Mbps程なので、それよりも劣る、ということになるのかも。
つまりSoftBankiOS端末向け、というニッチなSIMであるため利用者が少なく、それ故混雑時間帯の速度低下は非常に少ないが、SoftBankから借りている帯域幅はそれ程広くないためピーク速度はイマイチ、というのがこのSIMの特徴のようです。


SoftBankの3G回線はドコモと異なりHSPA+(下り21Mbps、上り5.76Mbps)に対応しているという強みがあるので、それも試してみました。

HSPA+を示す「H+」表示が出ているところ。

HSPA+で接続されている状態でのOOKLA Speedtest(左)、4Gmark(右)の結果。
下り10Mbps程、上り3Mbps程の通信速度が出、レイテンシも短いのでヘビーな使い方をしなければ普通に使えます。
HSPA+はおろかHSUPAも導入していない(HSUPAはかつて非常に狭いカバレッジで提供されていたが、サービス停止済)ドコモの3Gは今となっては利用に堪えない通信速度(特に上り。規格上限が386Kbpsだから無理もない…)なので、LTEカバレッジ外やLTE非対応の端末での利用ではドコモよりも優位です。
しかしSoftBankの3Gは全エリアがHSPA+対応になっているわけではなく、HSDPAにも非対応でW-CDMA(規格上限の通信速度は上下共に386Kbps)の場所があったりするのが難ですが…

余談ですがドコモ向け端末で、カタログスペック上はHSPA+非対応となっているSC-02C(Galaxy S II)にこのSIMを挿すと、アンテナピクトのパケット通信アイコンに「H+」が点灯し、HSPA+ usedの値も「1」になっています。
どうやらSC-02Cは隠れHSPA+対応のようです。
ファームはドコモ純正ではなくGT-I9100(国際版)向けのカスタムROM(NeatROM 6.4、Android 4.1.2)のですが、ベースバンドはドコモ版を導入しているので純正ファームでも同じと思われます。
これまた余談ですが、HSPA+対応で、HSPA+で接続されているのに「H+」表示が出ず、HSDPA接続を示す「H」表示にしかならない端末があるのはなぜだろう…


最後にテザリングについて。

本来の利用対象端末であるSoftBankiOS端末での利用ではテザリングはできないことになっているのですが、このように普通にテザリングできました。
つまりテザリングは回線側で制限しているのではなくiOSの仕様(キャリアプロファイル)により制限されているので、SIMフリーAndroid端末などそれ以外の端末ではテザリングできてしまう、ということのようです。
ただし本来の使い方ではないので、利用規約違反ということで通信制限や回線切断を喰らう可能性があることに留意が必要です。
とは言え利用規約テザリングに関する記載は見当たらないので、そういったことはないと思いますが…
本来の利用対象端末であるSoftBankiOS端末ではテザリングできないため記載がない、というだけかも知れませんが、そもそもSIMフリーAndroid端末で利用している時点で「自己責任」で、サービス自体が利用できなくても文句は言えないんですけどね。


ということで今回はSIMフリーAndroid端末で問題なく利用できましたが、その方が使い勝手がいいといったことでそのような利用法をする人が増えたため対策される、といったことでいずれ利用できなくなる可能性がある、というリスクがあることを納得した上で「自己責任」で利用する、ということが必要です。
って言うかSIMフリーAndroid端末で使う方がSoftBankiOS端末で利用するよりも使い勝手がいいのですから、「SoftBankiOS端末専用」と限定して売るのではなく普通にSIMフリー端末向けとして売ればいいのに、と思わずにはいられません。
日本通信」が提供する「SoftBank」回線利用のMVNO、というところは私個人は好きになれないのですが、ドコモ回線利用のMVNOのような混雑時間帯の速度の著しい低下は(今のところ)ありませんし、au回線利用のMVNO/サブブランドとは異なり対応する端末が多いので、「第三の選択肢」としての価値があるのですから。