楽天モバイル回線を2ヶ月間使ってみて

Rakuten Miniと楽天モバイル回線を導入して早2ヶ月、このへんで楽天モバイルを福岡市及び周辺地域で利用した印象について一度まとめておくことにします。

いきなり結論を言ってしまうと

 

ゴミ、こんなの金を取るレベルのサービスじゃない

 

の一言に尽き、契約後1年間は利用料金が無料だから許せる、としか言いようがない質の低さ。

言い換えれば未だにベータ版サービス、ってことでしょうか。

まずはカバレッジ

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福岡市内の自社カバレッジは私が契約した2ヶ月前に比べれば広がったとは言え、たったのこれだけ。

天神がカバーされたのは8月になってから、という体たらくには呆れてしまいます。

そういうこともあり必然的に一つの基地局がカバーするエリアが広くなり、それ故電波が薄いので通信が安定しないことが多いのがあれ。

こういった問題はイーモバイルWiMAXといった過去の新規参入キャリアやLTEの初期にもあったことなので仕方ない部分もありますが、これならUnlimited要らないから自社回線は使わずパートナー回線(au LTE Band 18)だけを使いたいと思ってしまいます。

 

そしてカバレッジの狭さだけではなく、周波数幅の狭さも問題。

楽天モバイルにはLTE Band 3(1800MHz帯)が20MHz割り当てられていますが、それに見合った通信速度が出ないのです。

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これまで楽天自社回線を掴んでいる状態でスピードテストをした中で最速の結果がこれ。
ここでは下り20Mbpsを超えていますが、平均すると上り、下り共に10Mbps程しか出ませんし、電波状態が良くないところではまともにデータが流れないことも。

20MHz幅であれば下り100Mbpsを超える通信速度が出てもおかしくないのですが…

上記の通り楽天モバイルにはBand 3が20MHz幅割り当てられているものの、それをフルに使っているのは東京、大阪などの大都市部のみで、それ以外の地域では5MHz幅で展開されているらしく、それならこの通信速度の遅さにも納得がいきます。

って言うか競合他社はキャリアアグリゲーション(CA)で複数の周波数バンドを束ねて利用できる中20MHzですら周波数幅が狭いのに、更にそれを削って5MHz幅しか利用していないというのはやる気があるのか、としか思えません。

カバレッジが狭い上にこんな低品質な回線で「使い放題、Unlimited」と言われても全く嬉しくないですね。

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ですからパートナー回線(au LTE Band 18:10MHz幅)利用時の通信速度でも負けてしまいますし…

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キャリアアグリゲーションが利用できる(ここではBand 1+41+41の3CCA)実質純正au回線(UQ Mobile)とは比べ物になりません。

敢えてメリットを挙げればMNOなのでMVNOとは異なり昼食時間帯などのピーク時に通信速度が落ちないことぐらいですが、これもサブブランドであれば同じですし、上の画像の通りその方が通信速度が速いですから明確なメリットにはなりません。

 

そして(自社エリアでの)データ通信だけでなく国内通話/SMSも無制限、かけ放題であることを謳っていますが、かけ放題になるのは専用アプリを介した通話のみ、つまり通常の音声通話(VoLTE)ではなくVoIPで実現しているということになります。

専用アプリを使う必要があるVoIPでかけ放題と言われてもねぇ、としか言いようがないですし、そもそもMNOになったのなら専用アプリやプリフィックスといったMVNOの手法を使わなくても端末標準ダイヤラでかけ放題を実現できるはずなのになぜそうしないのかが謎です。

他のMNOは端末標準ダイヤラで問題なくかけ放題を実現していますから、できないはずはないのですが。

恐らくVoIPを利用しなければコスト的にかけ放題の実現が難しいからでしょうが、そういう自分たちの都合をユーザーに押し付けておきながら「かけ放題!!」とドヤるのはいかがなものかと、と思います。

それだけでなくかけ放題を実現するための専用アプリもゴミときてるから呆れます。

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私が契約した当初はゴミと言えるようなものではなかったのですが、アップデートでニュースフィードだのウォレット機能だの音声通話/SMSとは全く関係のない機能を追加してきて見事ゴミ化してしまいました。

余計な機能を追加することはアプリの動作が重くなったり、不安定になったりする要素になるため音声通話を司るアプリとしてはやってはならないことのはずなのに、当の楽天はそうは思っておらずこれまた自分たちの都合を優先し、ユーザーの使い勝手といったことはガン無視。

腹が立ったので利用規約に同意せずアプリを終了させ、それ以来起動していません。

そもそも音声通話は利用しませんし、それ以前にアプリ経由だと通話録音ができないため使い物にならないので個人的にはそれでも問題ないですし。

それにしてもこんなアップデートを喜ぶユーザーっているんですかね。

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ということで気になってユーザーレビューを見てみたら案の定バッドレビューの嵐で、評価点も2.2とこれ程低いアプリはなかなか見かけないレベルの低さ。

当然ですね。

 

そしてもう一つ腹が立つのがGoogle Playに最新バージョンがアップされると即旧バージョンが利用できなくなること。

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更新がある状態でアプリを起動するとこの画面になり、最新バージョンへの更新を促されます。

これまた音声通話を司るアプリでこんなことしていいのかね、としか思えません。

常に最新バージョンを使ってもらいたいのでこうしていると言えば聞こえはいいですが、急ぎで電話をかけないといけないシチュエーションでこれをやられると怒り心頭、ふざけんなと思うのが当然、ということが楽天には分かっていないらしい。

アプリの自動更新を常時ONにしておけば上記のような事態は避けられる、という人もいるでしょうが、私はアプリの自動更新をONにするのはバカのやること、と思っているので(その理由については以前こちらに書いてます)それは有り得ない。

このような自分たちの都合だけを優先し、ユーザーの使い勝手をガン無視するやり方は止めてもらいたいものです。

 

データ通信もダメなら音声通話もゴミといいところが全くと言っていい程ない楽天モバイル、言うまでもないですが現状では本来の利用料金である税別2982円/月の価値は全くありません。

最初に書いた通り契約後1年間は基本料金無料だから許せるだけです。

自社カバレッジが狭く、それ故通信が安定しませんし通信速度も割り当てられた周波数幅をフルに使っていないため遅くUnlimitedの意味がない上にパートナー回線ではauのBand 18しか利用できず、当然キャリアアグリゲーションも利用できないためau回線利用の他社サービスに比べ通信速度で劣るという体たらく。

そして音声通話は専用アプリ経由でないとかけ放題にならず、VoIP利用のため通話品質も劣る上にそのアプリがゴミというおまけ付き。

今のサービスの質だと半額でもまだ高く感じます。

少なくとも全国の主要都市で割り当てられた20MHz幅をフルに使ったそれなりのエリア展開がなされ、端末標準ダイヤラで通話定額を利用できるようにならないと話になりません。

それでもキャリアアグリゲーションを利用できませんから、通信速度は既存MNO及びサブブランドには全く及びませんし、MVNOにすら負けかねない。

それにもかかわらず既存事業者、特にサブブランドは危機感を露わにして楽天モバイル対抗の新料金プランを導入したりといった動きを見せていますが、そんな心配は無用なのにねぇ、と思ってしまいます。

「こんな低レベルなサービスで既存事業者に対抗しようとしてるの? 勝てるわけないじゃん」としか言いようがないのですから。

このようなサービスの弱点を改善しどう巻き返すかが楽天モバイルが今後ユーザー数を伸ばし、そして継続してサービスを利用してもらえるかの鍵であり、そして事業が継続していくためにも重要なのですが、上記のようなユーザーの利便性よりも自分たちの都合を優先するようなやり方を続けていたらそうはならず、最終的に携帯電話事業からの撤退、もしくは他社に買収されてしまう、ということになりかねないでしょうね。

残念ながらそうなる可能性の方が高そうですが、楽天だから別にどうでもいいや。