SIMロックフリーだけどちょっと変:iPhone 3GS

単体発売品のSIMロックフリー端末は特定のキャリア向けに出荷されているわけではありませんから、GPRS/Web接続やMMS送受信などの各種設定は使用するキャリアに合わせてユーザーが自分で行なう必要があります。
つまり特定のキャリアの色に染まっていません。
SIMロックフリーですから当たり前と言えば当たり前ですが、しかしSIMロックフリーiPhoneは違います。
何と使用するSIMカードによって端末の挙動が違うのです。
どう違うのかというと、SIMロックフリーiPhoneiPhone提供キャリアのSIMを挿すとそのキャリア発売のiPhoneとして動作し、そうでないSIMを挿すと通常のSIMロックフリー端末として動作するのです。
例えばSoftBankのSIMを挿せばSoftBank版のiPhoneになる(SIMロックフリーであることは変わらない)、というわけです。

Settings→Phone(設定→電話)を開いた時のスクリーンショット
左がドコモのSIM、右がSoftBankのSIMを挿した時のもの。
SoftBankの方にはドコモにはない「ソフトバンクモバイル Services」(「Serices」は日本語では「サービス」と表記される)というボタンがあります。
ここをタップして開くと留守番電話(VoiceMail)の設定やMy SoftBankへアクセスするためのボタンなどがあります。
これは海外のiPhone提供キャリアのSIMを挿した場合も同様。

左が3HK(香港)、右がTrue Move(タイ)のSIMを挿した時のスクリーンショット
3HKには「Planet 3」、True Moveには「TRUE Services」というそれぞれのキャリアの独自サービスにアクセスするためのボタンがあります。
そこで私の手持ちの有効期限切れプリペイドSIMをとっかえひっかえして試してみることに。
するとやはりiPhone提供キャリアのSIMでは同様の結果になり、そうではないキャリアのSIMではこのようなボタンは出てきませんでした。

左がSingTel(シンガポール)、右がTelkomsel(インドネシア)のSIMを挿した時のスクリーンショット
インドネシアではTelkomselがiPhone提供キャリアになっている、というのは知らなかった。
(と言うよりあれ程ネット接続インフラの貧弱な国で使い物になるのか:iPhone)
他にはSmarTone-Vodafone(香港)、DTAC(タイ)、FarEasTone(台湾)といったSIMを試しましたが、これらiPhone提供キャリアではないSIMではこのようなボタンは出てきませんでした。
ちなみに台湾でのiPhone提供キャリアはChunghwa Telecom(中華電信)だそうです。


つまりiPhoneはハードの仕様だけではなくソフト(ファームウエア)の仕様も世界共通で、違うのはSIMロックの有無のみ、ということになります。
ところがこの仕様、SoftBankのSIMを使う上では困ったことになります。
SoftBankのSIMにはiPhone用のSIM(いわゆる黒SIM)とその他の端末用のSIM(いわゆる銀SIM)の2種類がありますが、iPhone契約ではない私のSoftBank SIMの色はもちろん銀色。
しかしSIMロックフリーiPhoneはそのSoftBank SIMの色を区別することはなく、黒だろうが銀だろうが「SoftBankiPhone」として動作します。
SoftBankiPhoneは他国版iPhoneとは異なりパケット接続設定がロックされていて(設定メニュー自体が出てこない)変更することができません。
日本の携帯キャリアのパケット定額接続設定は非公開ですから、このような仕様も当然といえば当然なのですが、SIMロックフリー端末としてはこれでは困る。

Settings→General→Network(設定→一般→ネットワーク)を開いたところ。
左がドコモ、右がSoftBankのSIMを挿した場合。
ドコモではGPRS/MMS設定を行なうための「Cellular Data Network」(日本語では「パケット通信」)ボタンがありますが、SoftBankにはありません。
私は当初iPhoneにはSoftBankのSIMを挿してパケット接続はOpenSoftBankアクセスポイントを使う、という運用を考えていたのですが、パケット接続設定を変更できない、となるとこのような運用は不可能。
そうなると気になるのが銀SIMを挿した状態でパケット接続をするとどうなるのか、ということ。
というわけでWiFiをOFFにしてiPhone搭載のSafariで接続元のIPアドレスリモートホスト名を確認できるサイトへアクセスしてみました。
すると…

このようにリモートホスト名が「熊猫世界」になっています。
つまりiPhone用アクセスポイント(笑顔世界)で接続されている、ということになります。
でもこのアクセスポイント、本来iPhone(=黒SIM)で使うものですから銀SIMを挿した端末でのアクセスというのは本来想定されていません。
今回のようにちょっと試しに使ってみた程度であれば問題ないと思いますが、常用するのははっきり言って怖い。
そしてMMS(SoftBank S!メール)の受信も試してみましたが、こちらはダメ。
10分以上経ってもメールがプッシュされてきません。
これはiPhoneにプリセットされているSoftBank MMS設定がiPhone用(黒SIM)のもので、他の端末用(銀SIM)の設定と合わないからだと思われます。
それともSoftBankiPhoneはやはりソフトの仕様が他社版及びSIMロックフリー版とは違うのか。
とにかくこれではSIMロックフリーとは言えど実質SoftBankでは使えない、ということになります。
SoftBank回線でiPhoneを使いたいなら素直にSoftBank版を買え、ということのようです。


SIMロックフリーiPhoneの購入を検討されている方はご注意を。