Google Play MusicとiTunes Match

私はたまにネットラジオで流れてきた昔(80年代後半〜90年代)の曲をまた聞きたくなってブックオフなどで中古CDを探すことがあるのですが、先週そういうCDを2枚見つけて購入。
それをリッピングしてPCに取り込み、そのデータをスマホにコピー、そしてGoogle Play Musicの音楽ロッカー(日本国内ではサービス未提供、私は以前ゴニョゴニョしてサービスをアクチ)にアップロードしました。
以前は専用のアップロードソフト(Music Manager)をPCにインストールし、それを使って音楽ファイルをアップロードする必要があり「ブラウザから直接アップロードできればいいのに」と思っていたら…

私が主にGoogleサービスの利用に使っているChromeGoogle Play Musicにログオンし、アップロードボタンをクリックするとこの画面が開き、いつの間にやらブラウザからのアップロードができるようになっていたのです。
そこで音楽ファイルが入ったフォルダをドラッグ&ドロップすると「Chromeのアドオンを入れろ」と言われたので、それに従いアドオンを入れるとブラウザからのアップロードが可能になりました。
Chromeのアドオンが必要、ということでブラウザはChromeを使う必要があります(私のメインPCブラウザFirefoxでやるとMusic Managerのダウンロードページが開く)。
Music Managerは音楽ファイルをアップロードするためだけのソフトなのにシステムに常駐したりとジャマなこともあり、それが不要なのは嬉しい限りです(ただしiTunes/Windows Media Playerのライブラリと同期するためには必要)。
Google Play Musicの音楽ロッカーには最大2万曲を無料で保存でき、アップロードされた音楽ファイルはPCのブラウザやスマホからストリーミング再生でき、クラウドからダウンロードすることもできるため音楽ファイルのクラウドバックアップとしても使え(私の主な利用目的はこれ)非常に便利なこともあり、早く日本でも正式にサービスを開始して欲しい、と思っています。


これと似たサービスとして最近日本でもサービスが開始されたiTunes Matchがあります。
iTunesのライブラリをクラウドへアップロードし、ストリーミング再生/ダウンロードできるサービスですが、ライブラリ内にiTunes Storeにある曲があればそれはアップロードされずiTunes Store内のそれと置き換えられ、元ファイルが低音質(128KbpsのMP3ファイルなど)の場合は高音質化する(256KbpsのMPEG-4 AAC(m4a)ファイルに置き換わるため)というメリットがあるものの有料(3980円/年:税込? 税別?)。
リッピングエンコードした大量のMP3ファイルを高音質化するためだけにこのサービスを利用する、という人もいるようです。
確かに百枚単位でCDをリッピングエンコードし直す手間と時間を考えれば3980円はリーズナブル、と思いますし。


しかしこの二つのサービス、似ているとは言え実際には性格の異なったサービスとなっています。
iTunes Matchを利用できるのはiOS端末及びiTunesをインストールしたPCとなっており、あくまでAppleのハード/ソフトを利用させる(悪い言い方をすると縛る)ためのサービス、という性格が強いのに対し、Google Play MusicAndroid端末との親和性が高いものの、基本的にWebブラウザが利用できる機器であれば利用可能で、ユニバーサルなサービスを目指している、という違いがあります。

TV録画PCとして使っているASUS UL20AにインストールしたChromeGoogle Play Musicへログオンし、音楽ロッカー内のファイルをストリーミング再生しているところ(もちろんブラウザはFirefoxでもIEでもOK)。
そういうこともありiOS端末でも使えるはずであり、以前は使えていたのですが、久々にメイン運用端末から引退したiPhone 4Sを引っ張り出して試してみるといつの間にか(日本では)使えなくなっていました。
iOS端末からGoogle Play Musicの音楽ロッカーへアクセスするための非公式アプリがいくつかあり、Safariからのブラウザ経由のアクセスも可能だったのですが、いずれも利用不可になっていたのです。
まずは前者の非公式アプリ経由のアクセスについて。
私はMelodies(無料版)というアプリを利用していたのですが、以前から音楽ロッカー内に存在していた曲はストリーミング再生できるものの、音楽ロッカーに新しく追加した曲を認識できないため実質的に使えない状態に。
そこで登録しているGoogleアカウントを削除し、再登録してみるとライブラリが全て消えてしまい、全く利用できなくなってしまいました(泣)。
では後者のブラウザ経由のアクセスはというと…

ログインすると「公式アプリがあるよ」という画面が開き、音楽ロッカーにアクセスできない(左の画像)。
それなら公式アプリをインストールしようとApp StoreマークをタップしてApp Storeへ移動すると、予想通り日本のApple IDでは利用できない、というエラーメッセージが出ます(右の画像)。
PC版サイトをリクエストできるブラウザ(Chromeなど)を利用すればそれを使うことで音楽ロッカーにアクセスすることはできるものの、そこからストリーミング再生ができない。
結論としてiOS端末でGoogle Play Musicを利用するためには公式アプリが必要で、それを導入するにはアメリカのApple IDが必要なため、日本からは実質的に利用できない、ということが分かりました。
本来は日本では利用できないサービス(サービスをアクチするためにあれこれゴニョゴニョする必要がある)なので、こういう仕様になってしまっても文句は言えないのですが、本当残念です。


更に悪いことにこのスマホブラウザ経由のアクセスが改悪されていて、Android端末のブラウザであっても同じ症状が出るようになっていました。
スマホ版ページへのアクセスでは公式アプリのインストールを促されるし(iOS端末向けとは異なり日本からはインストール不可、ということはなく、単に音楽ロッカーサービスが利用できないだけなのが救い)、PC版ページへのアクセスでは音楽ロッカーにはアクセスできるものの、これまたストリーミング再生ができない。
User AgentをゴニョゴニョしてもNGなので、何が原因なのか不明です。
公式アプリ/Chromeアドオン/Music Managerからのアクセスには端末数の制限(最大10。ブラウザ経由のアクセスには制限なし)があるため、むやみやたらにアプリをインストールして、というのはやりたくないですし(実際私はその上限に達していて、新しい端末を登録するには既存の登録を解除する必要が)。
基本的にWebブラウザを搭載する機器であれば利用できる、というiTunes Matchに対する大きなメリットが損なわれていることになり、非常に残念です。
そういえばWindows Phoneからの利用はどうなってるのかが気になるところ(ちょっとググってみると非公式アプリがあるみたい)。


上にも書きましたがGoogle Play Musicは非常に便利なサービスなので、iOS端末での利用もできるよう日本でも正式にサービス開始してもらいたいものです。
当然カスラック、もといJASRACの激しい抵抗を受けることは容易に予想できますが、私としてはこのようなサービスはユーザーが持っている音楽ファイルをスマホやミュージックプレイヤーにコピーして持ち出したり、外付けHDD等にバックアップするのと何が違うんだ、と思っていることもあり、そのような反論は無視してもらいたいものです。
iTunes Matchがサービス開始されたのですから不可能な話ではない、ということでGoogleにはそれに対抗する意味でも日本でもサービスを提供して欲しいですね。