mineoプリペイドSIMを試してみる


付録にau回線利用のMVNOサービスであるmineoのプリペイドデータSIMが付属した雑誌が発売される、ということでUQ Mobileと比較してみたい、ということで購入。
以前発売されたIIJmioプリペイドデータSIMが付属した雑誌はあっという間に売り切れてしまったとのことで(Amazonでも予約分だけで完売)手に入らなかったので、発売日に大型書店ヘ行き入手しました。
しかし数日前にとある書店に行ってみるとまだ売ってた…
mineoはau回線利用のMVNO、ということで利用できる端末が限られる(基本的にau LTE端末のみ)ため汎用性に欠ける、ということであまり売れていない、ということでしょうね。


SIMをアクティベーションしてXperia ULに挿し、APN設定をして利用開始。

しかしauXperiaはAPNをCPA設定で指定する仕様で、しかもそのCPA設定は1つしか保存できないためAPN設定が異なるSIMを挿し替えて使うのが面倒、というのはいただけない。
そもそもau端末はMVNOや他社SIMの利用を考慮した仕様になっていないからでしょうが、それにしても不便だ…


UQ Mobileとの比較をするために両者でスピードテストをしてみると…

左がmineo、右がUQ Mobile
混雑する時間帯でなければこのようにUQ Mobileと変わらない通信速度が出ますが…

これも左がmineo、右がUQ Mobile
平日の昼食時間帯はこの通り通信速度が大幅に低下してしまい、UQ Mobileとの差は歴然。

そして時にスピードテストに失敗することもあります。
実利用でもモッサリしていて、TwitterのTL更新やWebブラウズでも引っかかり感があり、利用に支障が出る程遅い、ということはないものの、快適に利用できるとは言いがたい状態でした。


mineoはUQ Mobile以外のMVNOと同様平日昼食時間帯といった混み合う時間帯にはパフォーマンスが大幅に低下する、ということが分かりましたが、そこで気になるのは同じように混雑時間帯に通信速度が低下するMVNO同士のパフォーマンス差。
というわけでGalaxy Note 3IIJmio SIMを挿して比較してみることにしました。

左がmineo、右がIIJmio
このようにスピードテストではIIJmioの方が遅いですが、実際の利用感では逆で、IIJmioスピードテストの結果の割にはサクサク動作し、モッサリ感をそれ程感じさせずさほど不満なく利用できるのに対し、mineoはスピードテストではIIJmioよりも良好な結果を出すにもかかわらず実利用では明らかな待たされ感を感じ、使っていてちょっとイラッとすることも。
恐らくIIJmioは回線混雑時にスピードテストの通信を絞って実利用時のパフォーマンス低下を抑えようとしているのに対し、mineoはそのようなことは行っておらず、スピードテストで出る通信速度通りのパフォーマンスになってしまう、ということのようです。
これはすなわち今問題になっている「通信の最適化」というやつですが、このように混雑時間帯に特定のプロトコル、通信先だけ速度を絞る、といった方法であれば別に問題ではない、と私は考えます。
いくらスピードテストで良好な結果が出ても、実際の利用ではそれに見合わない通信速度で動作はモッサリ、スピードテストの結果と実パフォーマンスが乖離していて使っていてイライラ、というのでは意味がないですから。
しかしSoftBankなどが行っている「メディアファイルを勝手に圧縮して通信量を削減する」という形による通信の最適化は論外。
メディアファイルの品質が劣化してしまうのは当然ですが、それによりファイルサイズ、チェックサムが変わってしまうことによりアプリの動作に不具合を発生させてしまう、といったより深刻な問題を引き起こすこともあるのですから。
これについてはこのエントリの趣旨ではありませんからこれ以上は書きませんが、いくら通信の最適化が契約上認められているとは言えこのような明らかにユーザーが不利益を被るような形での最適化は止めて欲しいものです。
それにしても実利用時のパフォーマンスを重視してスピードテストの通信を絞る、というのはなかなかできないことだよな、と思ってしまいます。
スピードテストの結果はユーザーが利用するキャリア、MVNOを選ぶ際の重要な指標の一つであり、当然その結果がいいところが高い評価を受けますから、それを実パフォーマンスを重視して速度を出なくする、というのは普通はやらないはずですが、それにもかかわらずIIJmioはユーザーに訴求しやすいスピードテストの結果を追い求めるよりも実際の利用感を重視している、ということで好感が持てますね。
それとは逆にスピードテストではそれなりにいい結果が出るが、実利用ではそれ程高速ではなく動画の読み込みは遅いし、しかも通信の最適化でメディアファイルの品質が劣化する、というSoftBankは一体…
というわけでIT系メディア各社にはスピードテストの結果だけで通信パフォーマンスを判断せず、実際の利用感も加味した上でキャリア/MVNO比較記事を書いて欲しいものです。


最後にmineoについてのまとめですが、利用スタイルに合わせた複数の料金プランがある、高速従量データ/低速定額の切り替えが可能、従量データを使い切ったら別途料金を払うことで追加可能、ユーザーコミュニティサイトなど情報提供に積極的、といった点がUQ Mobileに対するメリットですが、混雑時間帯の通信パフォーマンスがUQ Mobileに比べ圧倒的に劣りますし、上記のメリットもドコモ回線利用のMVNOでは一般的なものであり、mineoだから、というものではない。
ですからau回線を利用したければ通信パフォーマンス面でUQ Mobile一択ですし、多機能性、動作の安定性(au回線利用のMVNOLTE網にしか接続できないという仕様の関係で通信の安定性に難が)、対応端末の入手性のよさを重視すればドコモ回線利用のMVNOを選べばいいのですから(個人的にはIIJmioがお勧め)、現状ではmineoが入り込む余地はほとんどなく、既にau LTE対応端末を持っていて、どうしてもそれを使いたい、そしてUQ Mobileにない機能、サービスを享受したい、というのでなければ選ぶ意味はない、と言えそうです。
かなり辛口ですが、現状ではそういう評価にならざるを得ません。
au回線利用ということでただでさえ端末の選択肢という面で不利なのですから、混雑時間帯の通信パフォーマンスを上げる、もしくはそのような時間帯であってもそれなりに快適に利用できるような策を講じる、といったことをしないと厳しいでしょうね。
そしてau回線利用によるハンディキャップを克服すべくドコモ回線も提供することにしたのでしょうが、言うまでもなくドコモ回線利用のMVNOは非常に競争が激しく、今の通信パフォーマンスでは後発事業者であることもあり厳しいでしょうし。


ということで残念ながらmineoは私の選択肢には入り得ないMVNOサービス、という結論となりました。