ムダな公共事業をやりまくる愚かな街長崎

先日「西九州新幹線が開通する前に特急かもめの乗り納めをしたい」と急遽葬式鉄した話をしましたが、実は長崎に帰ったのは何と7年ぶり。

当然7年も経つと長崎の街も大きく変わっていたわけですが、それを見てまず感じたのが「没落する街に不釣り合いで、負の遺産になる事が明らかでムダな公共事業をやりまくる愚かさ」。

私が長崎に帰ると必ずと言っていい程行く立山から見た長崎市内。

西九州新幹線の開業に合わせて(かこつけて)行われている長崎駅周辺の再開発現場がよく見えます。

そこから北方向に目を向ければジャパネットたかたが開発に関わる銭座町周辺の元三菱重工の工場跡に建設されるサッカースタジアムを中心とした商業施設の建設現場も見えます。

その長崎駅周辺の再開発現場。

そして長崎市公会堂の跡地に新しい長崎市役所も建設中(中央左にある高いビル)。

長崎市役所は建物が老朽化しているため建て替える、というのは理解できますが、だからと言ってこんな高層ビルを建てる必要は全くない。

長崎駅周辺の再開発にしろ長崎市役所の建て替えにしろ、長崎市は全国の県庁所在地の中で人口減少数が最多という「人口流出が続き、没落していく街」なのに何バカな事をしている、としか思えませんし、ジャパネットたかたによる三菱重工工場跡地の再開発も下手すれば会社が傾きかねないリスクの高い事業であり、創業者が一代で築き上げた会社をその息子がダメにする、という結末になりそうな気がしてなりません。

 

西九州新幹線開業にかこつけた大規模な建設事業が進む一方長崎の街は更に没落が進み、寂れていくばかり。

かつては買い物客で賑わっていた商店街は店舗の多くが廃業してしまい、人もまばら、というかほとんど歩いていませんし…

空き家やそれを取り壊した後の空き地は増え続け、中にはこのように空き家になってから長い時間が経過し、完全にゴーストハウスと化しているものも。

山の上まで延々と続く階段もその周りの家々が空き家になったり取り壊されたりした事で住む人が減ったため手入れが行き届かなくなり、草木が生え放題で時に通行の妨げにも。

仕事が少なく給料が安いのに物価は高い、しかも坂や階段が多く登り降りが大変で車の運転にも苦労すると暮らしていく上で不利な条件が揃っていますから人口流出が止まらず、没落していくのは必然ですが…

 

それにしても長崎県の公共事業に関するセンスのなさ、過去の教訓に学ばない無能さには呆れてしまいます。

戦後の食糧難を解消するための農地造成という当初の目的がなくなり、やる必要がなくなった諫早湾干拓事業をゴリ押しし、その結果有明海の環境を破壊し周辺の県(福岡、佐賀、熊本)を敵に回したのに、それに懲りず費用対効果が低く、これまた必要のない西九州新幹線をゴリ押しして建設し、佐賀県を敵に回す。

バカじゃねえの、としか言いようがありません。

その西九州新幹線、普通に考えればまず着工可能な区間を将来新幹線に切り替えられる仕様で建設して暫定的に在来線を走らせ、全線開通する見込みができた段階で新幹線にアップグレードする、といった手法を取るべきなのですが(そもそも建設する必要性がゼロですが)、それでは「おらが県にも新幹線を」と考えているバカで田舎者の長崎の政治家や土建屋としては極めて都合が悪いので、利用者やJR九州の都合はガン無視して武雄温泉~長崎だけで無理やり新幹線を引き、既成事実を作ってしまうという暴挙に出た、というわけです。

本当呆れますね。

西九州新幹線ゴリ押し派の連中にとっては自らの実績となる「長崎県に新幹線が通った」という事実だけが重要で、武雄温泉駅で乗り換えを強いられるリレー方式という不便な仕様を押し付けられる利用者や、赤字になる事が確実な路線を押し付けられ、経営にも影響が出かねないJR九州の事など眼中にない。

彼ら西九州新幹線ゴリ押しバカにとっては未だに「JR=国鉄」なのでしょうが、国鉄は35年程前に民営化され、今ではJR九州東証プライム市場(旧東証一部)上場のれっきとした民間企業。

民間企業である以上利益を出す必要があるため赤字になる事が確実な路線を押し付けられるのは迷惑以外の何物でもないのですが、そういった事を西九州新幹線ゴリ押しバカは理解していない。

そんな西九州新幹線ですから、開業後6日間の乗車率が39%という悲惨な結果に。

一番列車の指定席は発売開始から10秒で売り切れと「瞬殺」だったにもかかわらず開業初日の乗車率が66%とか終わってる、としか言いようがありません。

開業直後の注目度が高い時期で乗車率39%という体たらくですから、その後はもっと乗車率が低くなっているのは確実で、JR九州としては「こんな儲からない路線を押し付けやがって」と怒り心頭かも知れません。

リレー方式で不便になるのに運賃はアップし、その上窓口売りの割引乗車券(かつての2枚きっぷ)もなくなったのですからこうなるのは当然ですが…

しかも佐賀県が武雄温泉~新鳥栖の新幹線建設に消極的なため全線開通の見込みが全くなく、今後も武雄温泉駅での乗り換えを強いられるリレー方式が(無期限で)続く事が確実視されていますから、いずれ「いつまでこんな不便な事を強いられるんだ、在来線に戻せ!!」という怒りの声が高まるのは確実。

って言うかこうなる事が分かった時点で西九州新幹線の建設を止めるべきだったのですが…

計画当初から西九州新幹線建設に反対だった私としてはすぐにでもそうなって欲しいですし、今からその日が来るのを待ちわびています。