ドコモの隠蔽体質はちょっと問題


先日のドコモのLTEサービス向け追加周波数バンドについてのエントリ

今Xi対応端末を購入し、それが1年後に新規サービス開始されたエリアでは使えない、とか勘弁して欲しいですからね。

と書きましたが、残念ながらそれが現実のものになる可能性が。


先週の日曜日(7/1)にヨドバシ博多へ行ってみると、Galaxy S IIIが発売開始されて最初の週末だからかドコモコーナーにGALAXYロゴのポロシャツを着たサムスンから派遣されたと思われるスタッフが二人(おにいさん&おねいさん)。
そこで私は「サムスンから派遣されたスタッフだから、もしかして知ってるかも」と思い、そのうちの一人(おにいさん)を捕まえてこう聞いてみました。
Galaxy S IIIの購入を検討しているんだけど(本当は買う気ゼロですが)、これって今年秋から開始予定のLTE1500MHzバンドには対応してるの?」
ところがこのGALAXYおにいさん、私の質問の内容を全く理解せず、バッテリー容量が云々、とか言い始める。
私が「違うよ、バッテリー容量の話じゃなくてLTE対応周波数バンドの話」と言っても全く要領を得ない。
結局ヨドバシのドコモ担当スタッフが出てきて「単なる販売店であるうちでは分からないので、ドコモショップで聞いてください」ということになりましたが、それにしてもこんな能無しを販売店に派遣するサムスンは一体何を考えているのか全く理解できません。
逆にGALAXYおねいさんの方は優秀みたいで、私が「能なしおにいさん」の相手をしている間にGalaxy S IIIを一台販売していました。
彼女に聞けばよかったのですが、そういう優秀なスタッフってなかなか捕まらないんですよね。


まぁこれは予想できていたことなのでどうでもよかったのですが、やはり気になって後日ドコモショップに寄り道してこの件について聞いてみました。
するとここでも私の質問が誤解され、「Galaxy S IIIはプラチナバンド(先日ドコモが獲得した700MHzバンドのことと思われる)には対応しません」と言われてしまう。
私が再度「それではなくて、今年秋サービス開始予定の1500MHzバンドのこと」と言うと、改めて調べてくれて「残念ながら対応していないそうです」とのこと。
これを聞いて私は「メイン音声回線をauMNPしようか」と一瞬考えてしまいました。
だって「最新モデル端末が今後半年以内に始まる新サービスに対応していない、しかもその情報を(ショップ店員にすら)隠して販売している」のですから、そんな端末を売るキャリアは信用できない、と思うのは当然だから。
それぐらいびっくりしました。
とは言っても私のドコモ音声回線は家族割を組んでいるし、auMNPするとSIMを挿し替える自由を失うので、MNPは有り得ませんし、FOMA契約にはある無料通信料がないXi契約に変更することもありませんが…


これだけでは何がダメなのか分かりづらいかも知れないので、実例を挙げることにします。

ドコモのXiエリアマップから九州北部を切り出したもの。
このマップ上で緑色で示されたエリアが「今年12月までにサービス開始予定のエリア」。
ドコモの1500MHzバンドによるLTEサービスは今年秋から開始される予定ですから、この緑色エリアは1500MHzバンドでのサービス提供となる可能性があります(東名阪は1500MHzバンドの免許の関係で該当せず=現行の2100MHzバンドでのサービス)。
もしそうであれば1500MHzバンドに対応しない現行Xi端末はこの緑色エリアではLTEでの通信ができない(DC-HSDPAでの通信となる)可能性がある、ということになります。
まぁこれに関する情報は端末の1500MHzバンド対応状況同様ありませんし、もしかすると1500/2100MHzデュアルバンドでのサービス提供となる可能性もありますから、これをもって「緑色で示された対応予定エリアでは2100MHzシングルバンドXi端末でのLTE通信ができない」と言い切れるわけではありませんが。
もし新規サービス開始エリアが1500MHzシングルバンドでのサービス提供となり、それに対応しない旧モデルXi対応端末ではLTEが利用できない、といったことになれば当然ドコモにはクレームが殺到するでしょうし、2年縛りでXi対応端末を購入したユーザーから「詐欺師」呼ばわりされるのは間違いないでしょうから、それはないと思うのですが…


もし1500/2100MHzデュアルバンドでのサービスになれば10MHz幅を取れる1500MHzバンドでは75Mbps、(FOMAの帯域を削ってサービスを提供している関係上)5MHz幅しか取れない2100MHzバンドでは37.5Mbpsと利用周波数バンド(そして端末の対応周波数バンド)によって最大通信速度に差が出ることになるかも知れませんが、それでも「全く使えない」よりはマシ。
この件を好意的に取れば「1500/2100MHzデュアルバンドでサービスを提供するから、最大通信速度に差が出ることはあっても現行端末でもXiサービスを利用できるためさほど問題視していないので、詳細な情報を出していない」と見ることもできますが、この件に関する情報を全くと言っていい程出さない(「隠蔽」と言いたくなるぐらい)ことが私のようなユーザーの不信感を生み出している、ということをドコモには認識してもらいたいところです(こんなことを言うのは私だけ?)。
そして今Xi対応端末を購入した人が損をしないように1500MHzバンドの追加後に新規にサービス開始されるエリアでは(そして既にサービスが提供されているエリアでも)1500/2100MHzデュアルバンドでのサービスを提供して欲しいところです(今後追加される700/800/1700MHzバンドのサービス開始時も同様)。
そして端末のLTEマルチバンド対応化も早急に進めて欲しいところです。
「骨の髄まで腐っている」SoftBankと同類に見られないようドコモには良識を持ったサービス提供を期待したいですね。


それにしてもこういった重要なことをIT系メディアが全く伝えない、というのも問題。
とは言え今は企業がメディアに対して絶大な権力を振るう時代なので、企業の都合の悪いことを報道することが極めて難しいですから無理もないのかな、と思いますが、最近のメディアのスポンサー企業に対する過度な配慮は目に余ります。
広告を打ち切られたり、記事を書くためにテスト用端末を借りられなくなったりすると致命的ですから、メディアが広告主に過剰に媚びるのも分かるのですが、それによって伝えられなければならない情報が広告主の圧力でもみ消され伝えられない、というのは極めて大きな問題。
SoftBank系列のホスティング会社ファーストサーバがデータ消失を起こした事件は一般メディアではほとんど報じられておらず(発生から1週間近く経ってからWBSでチョロっとやってたぐらいかな)、IT系メディアでもそれ程大きく取り上げられなかったというのはその最悪の実例、と言っていいでしょう(白戸家のお父さんのCMを打ち切られると困るから?)。
多くの企業、団体のデータを預かっておきながらバックアップデータをも消失させる不祥事を起こしたのですからそれによる被害は当然甚大ですし、そしてTwitter発の情報によると自殺者も出ている、という話だそうで、それが全くと言っていい程報道されていない、というのは異常としか言いようがありません。
日本においては「報道の自由は死に絶えてしまった」といっても過言ではないでしょう(まぁ私の意見としてはそんなものずっと昔から死んでいますが)。
マスメディア発の情報は信用できず、真実を知るためには個人が発信する情報を集めて、それを元にして自分自身で判断しないといけない、ってこれでは中国と何が違うというのでしょうか。


Xiの話に戻しますが、そういうこともあり現状ではXi対応端末の購入はお勧めできません(ということで冒頭の「NOT RECOMMENDED」という画像につながる)。
Xiを導入するのであれば1500MHzバンドによるLTEサービスの開始時期に合わせて発売されることになる秋冬モデルまで待つのが無難でしょう。
とは言えその頃には「モバイル界今年一番の台風の目」と目される(私が勝手にそう思っているだけ?)auLTEサービスが始まりますから、それと比較するとXiが色褪せて見えるかも知れませんが。


利用周波数バンドの問題以外にもXiには問題点が多く、私個人の意見としては現状ではお勧めできないサービスなのですが、それについても改めてまとめるかも知れません。