今Xiにしてはいけないいくつかの理由


(昨日と同じ画像を使い回し…)
昨日のエントリで「現状では利用周波数バンドの問題(過渡期のため、端末/エリア共に対応が不明瞭)もあり、Xiを選ぶべきではない」、と書きましたが、他にもXiを選ぶべきではない理由は多数。
というわけで今回はそれについてまとめてみます。


1:LTE利用可能エリアが狭い

これまた昨日の使い回しの九州北部のXiエリアマップですが、一目見て分かるようにスカスカ。
主要都市ではそれなりにエリアが広がっているものの現実には穴だらけですし、まだ拡大予定エリアにすら入っていない地方都市も多数。
これでは「LTEの高速通信を生かせる」とは到底言えない状況です。
まぁこの狭い対応エリアでも日常の行動範囲をほぼカバーできる、という人なら問題ないかも知れませんが…


2:その上エリア拡大も遅い
上記のエリアマップは今年中の拡大予定エリアを示していますが、拡大予定エリアは地方都市の中心街を点々とカバーするような感じとなっており、面で広がっている、というには程遠い状態です。
来年以降のエリア拡大計画がどのようになっているかは現状では不明ですが、そもそもXiの本格的なエリア拡大は1500MHzバンドが全国で利用できるようになる2014年以降、とされているので、来年もあまり期待できないと見ておいた方がよさそうです。
ただしauLTE次第ではケツに火が点いて、急速に拡大し始める可能性もありますが。


3:LTEエリア外での通信速度が遅い
LTEエリア外ではW-CDMA(FOMA)での通信となりますが、規格上の最大通信速度が14.4M/386K(DC-HSDPA、HSUPA非対応)のため通信速度が遅く(特に上り)、LTEとのギャップが大きい、という欠点が。
それに対しイーモバイルLTEエリア外ではDC-HSPA+/HSUPA(42M/5.76M)での通信となり、速度差をそれ程気にすることなく利用が可能です。
ドコモのFOMAエリアでの実通信速度は2Mbps程度、イーモバイルDC-HSPA+が8Mbps程度ですから、違いは歴然(上りは更に大きな差が付く)。

イーモバイルの九州北部のエリアマップ。
紫/緑がLTE(サービス提供中/拡大予定)、赤/黄色がDC-HSPA+(サービス提供中/拡大予定)の利用可能エリア。
LTEの利用可能エリアは多くの県で県庁所在地と県内第二の都市+空港がある都市までのカバー(例えば長崎県だと長崎市佐世保市大村市)となっていて、地方都市のエリア化を開始しているドコモには及びませんが(それでも健闘している、とは言えるでしょう)、このマップで示されているエリア全てでドコモを上回る高速通信が利用できる、と考えると全く劣っておらず、逆にその価値はかなり高い、と言えます。
しかし通信速度は遅いとは言え、ドコモのFOMAネットワークのカバレッジの広さは圧倒的ですから、それに価値を見いだしているユーザーにとってはいくらイーモバイルの高速通信可能エリアが広くても訴求力にはならないでしょうが。


4:音声契約プランがFOMA契約に比べ劣化している
Xi音声契約の契約プランは無料通信料なしのプラン1つしか選択肢がなく、その上キャリア内定額通話を利用するにはオプション料金がかかる、とSoftBankホワイトプラン/auプランZシンプルの劣化プラン、としか言えないもの。
オプション料金がかかることもあり他キャリアの定額通話付きプランと異なり24時間利用可能ですが、それを鑑みても1,480円/月は高いですし、定額対象外の通話は完全従量課金(FOMAのプランSSと同じ料金で課金される)ですから、ほとんどのユーザーがFOMA契約よりも高くつくようになるのではないでしょうか。
無料通信料の無い完全従量制の音声料金プランを強制することでドコモ側から見た負債(ユーザーが繰り越した無料通信料:ユーザー側から見れば貯金)を消し去り、キャリア内定額通話のオプション料金と定額対象外通話の従量課金でユーザーから搾取したい、とドコモは考えているのでしょう。
これだとFOMAから移行する意味はほとんどないと言えそうです。


5:パケット完全定額ではない
Xiのパケット料金プランには「完全定額」のプランはなく、契約プランで定められた上限データ量を超えると速度制限or追加料金がかかる、という料金制になっています。
確かにこれは完全定額制のFOMAと比べると欠点ではありますが、しかしこれは他キャリアもLTEでは同様の料金制となっていますから(恐らくauLTEも同様でしょう)、実際には欠点とは言えませんが。


6:端末がまだ技術的にこなれていない
LTE対応端末はまだ登場から日が浅く、それ故バッテリーの持ちが悪いなど問題のある端末が多いのが現状です。
売店の店員が「LTEエリア外でも常時LTEの電波を探しに行くため、それがバッテリーの持ちに影響している」、とはっきりと言っていましたからね。
それなのにLTEをOFFにできない(隠しコマンドで切り替えできるサムスン端末などを除く)のですから、日常の行動範囲のほとんどがLTEエリア外、という人にとってはただのバッテリー喰らいでしかありません。
そのようなユーザーもいるのですから、LTEをOFFにできるようにして欲しいところです。


といったところでしょうか。
とは言えこれらの欠点も今後のエリア拡大、端末のスペック向上などにより解決していくでしょうから、いずれは利用価値のあるサービスになると思いますが、現状では「待ち」です。
現在FOMA音声契約の方はそれを継続すべきですし、新規に高速モバイル通信回線の導入を考えている方はもし待てるのであれば今年の秋冬モデルが出た時点で決断した方がよいでしょう。
LTE1500MHzバンド対応のXi端末が出るだけではなく、auLTEが開始されることもあり選択肢が広がりますからね。
「そんなに待てない、今すぐ必要」という方は通信速度を重視するのであればイーモバイルLTE、利用可能エリアを重視するのであればau +WiMAXを選択するのがよいのでは、と思います。


そういう私もau LTE待ち(イーモバイルLTEと比較してどちらかに決めたい)だったりします。