ついにSoftBankによる改悪が始まった(追記あり)

以前私はこのエントリでこんなことを書いていましたが、

恐らくSoftBankiPhone 5で利用できる1800MHz(Band 3)によるLTEサービスを拡大するために既存ユーザーがいることなどお構いなしで1700MHz(Band 9)で提供されているDC-HSPA+サービスのバンド幅を削り、それをLTEに転用する、といったことをやるでしょう。
ウィルコム買収の際にはウィルコムが持つPHS基地局を間引きし、そこに自社の3G基地局を建てる、といったことをやった前科があることを考えると当然でしょう。
バンド幅が削られるとDC-HSPA+でのサービスは提供できなくなるため、当然通信品質は低下します。

それが現実のものになる日がやってくるようです。


LTEサービス 下り(受信時)最大75Mbps対応エリア拡大に伴う下り(受信時)最大42Mbps対応エリアの21Mbps化について|報道発表資料|イー・アクセス


今年8月からLTEを下り75Mbps(10MHz幅)にグレードアップするために3Gを下り21Mbps(DC-HSPA+→HSPA+)にグレードダウンするとのこと。
それにしてもこんなに早く改悪が始まるとは思っていませんでした。
それに伴いイーモバイルサイトにこんなお知らせが。


GP02、GP03、GD01、D41HWをご利用のお客さまへ|イー・モバイル


これらの端末を利用中のユーザーは影響(下り通信速度の低下)がありますよ、LTE端末へアップグレードするのであれば違約金の一部免除、再契約時の手数料を免除という救済措置がありますよ、というお知らせですが、そこに

※EMチャージをご利用のお客さまは、イー・モバイル カスタマーセンターにお問い合わせください。

という記載が。
GP02をEMチャージで利用している私としては気になるので、カスタマーセンターに問い合わせてみました。


以前エントリしたように「プリペイドユーザーを冷遇するイーモバイル」だけあって何らかの施策がある、ということはなし。
コールセンターのおねいさんは「通信速度は低下しますが、サービス自体は使えますんで」としか言いませんでしたし、ポストペイドLTE契約への切り替えを勧めるセールストークもありませんでした。
後者に関しては私が「帰省時とか旅行時とかに使うために持ってるんですよね」という話をしたからかも知れません。


せっかくカスタマーサポートに電話しましたから、私がEMチャージサービスに関して疑問に思っていることについても聞いてみました。
・EMチャージSIMをLTE端末に挿しても利用不可
LTEの利用には専用SIMが必要なため、3Gですら使えないそうです。
(追記)コメントで「GL04PにEMチャージSIMを挿したら3Gで使えた」という情報を頂きました(報♪さん情報ありがとうございます)。
端末によってEMチャージSIMが使えるものと使えないものがあるのかも知れませんし、そもそもコールセンターのおねいさんが間違えた情報を伝えたのかも知れません(「ウソをつくのがデフォルト」のSoftBank傘下になったことですし)。
・EMチャージでLTEが利用可能になる予定は今のところなし
LTEへの移行を進めるのであれば、こういった施策は必要なはずですが、上記の通りイーモバイルプリペイドを冷遇していますから、こういったことはやるつもりはないのでしょうね。
・現状では3G(HSPA+)サービスを終了する予定はなし
イーモバイルはデータサービス主体のキャリアとは言え、音声通話サービスも提供していますから、3Gサービスを終了する、ということは普通に考えれば有り得ないのですが(LTEは音声サービスをサポートしないため)、SoftBank傘下になったため油断はできません。
SoftBankとしては「iPhone様の通信帯域を確保することが至上命題」ですからイーモバイルの既存3Gユーザーのことなどお構いなしにやりそうな気がします。
もしそうなっても音声通話にはSoftBankの3Gネットワーク(900/2100MHz)を使う、という手がありますから、それ程問題にはならないでしょうし。
そしてそれが現実のものになれば恐らくその時点でEMチャージも終了(=LTEへの移行はなされない)でしょうね。


このニュースに関するツイート等を見ていると、「WiMAXよりも高速!! ということで契約したのに騙された」とか「最大通信速度が半分になるのだから、料金も半分にしろ」といった意見が見られますが、DC-HSPA+がHSPA+になるからといってそれ程の速度低下は起きないのだから、騒ぎすぎ、と私は思うのですがねぇ。
DC(デュアルキャリア)技術は基地局の回線容量に余裕がある際に2回線分(10MHz幅)を使って通信速度を高速化(理論上2倍)する手法であり、回線が混み合っていたりしてその条件を満たさない場合はその恩恵を受けられません。
ドコモ(そしてSoftBankも)この技術を採用していますが(最大下り通信速度14.4MbpsのDC-HSDPA)、これらのキャリアの場合ユーザー数が多いこともありこの恩恵を受けられることはほとんどありません。
極論すると「カタログスペックをよく見せるためだけに」この技術を採用している、と言っても過言ではありません(基地局のソフトウェアの更新だけで対応できることが多いため、安上がりでもある)。
実際DC-HSDPA非対応(HSPA+対応)のGalaxy Note GT-N7000がドコモ回線の利用においてDC-HSDPA対応のXperia acro HDに比べ明らかに通信速度で劣る、ということはありませんし、イーモバイルも現在LTE75Mbps対応となっているエリアで3Gの通信速度が極端に低下する、ということもない(これに関してはこのエントリで実証済)。

上記リンク先の過去エントリで長崎駅(イーモバイルLTE75Mbps対応エリア)でイーモバイル3G回線(HSPA+)のスピードテストを行なった際の結果。
私としてはDC-HSPA+非対応であってもこれぐらいの通信速度が出ていれば十分と思いますがいかがでしょうか。
こういうことを言う私も本当は利用しているサービスがダウングレードされるのは不満ですが…


L-03E+(繰り越し分を含めて)最大4GB/月まで使えるドコモLTE回線があるので、これが実家で使い物になるようであればイーモバイルはこれにてお役ご免、ということで一件落着、ということになりそうですが、ドコモのLTE基地局が3Gのそれと同じところに収容されているのであれば電波状況は現状とほとんど変わらないわけで、結局のところはもうしばらくは(少なくともドコモが九州での1500MHzバンドLTEサービスを開始するまでは)イーモバイル3G(HSPA+)回線は手放せないのかな、と思っています。