今頃そんなこと言ってるの?

ネタにするタイミングを少し逸してしまいましたが、10日程前に「iPhoneの電波強度表示(アンテナマーク)がauSoftBankでかなり異なる値を示し、同じような電波強度であるにもかかわらずSoftBankの方が電波状況がいいように見える」ことが話題になりました。
例えば…


【追記あり】iPhoneのアンテナ表示本数に問題、電波が弱い場所でも「バリ5」となることが明らかに | BUZZAP!(バザップ!)


それを見た私は「そんなの以前(iPhone 3GS/iOS3の頃)からあったのに、今頃そんなこと言ってるの?」「そもそもアンテナマーク表示はあくまで目安であって、厳密な比較には使えないのにバカじゃないの」と思ってしまいました。
以前隠れFOMAプラス対応端末リストについたコメントへの返答に書いたのですが、はっきり言ってアンテナマーク表示なんてファームウェア次第でどうにでもなりますからね。
アンテナマークフル点灯になる電波強度の閾値を甘くし、電波状態がかなり悪い状況下でもアンテナマークフル点灯となるようファームウェアを設計すればいいのですから。
極端なことを言えば圏外ギリギリの状況であってもアンテナマークフル点灯、という仕様にすることも可能です。
特に日本市場向けの端末は基本的にキャリア専用端末(SIMロックあり)、ということもあり尚更そういったことがやりやすいですし。


その利用しているキャリアによるiPhoneのアンテナマーク表示の違いですが、私はこれに関してはかなり前から気になっていて、1年半程前(もちろんauからiPhoneが発売される前)にSIMロックフリーiPhone 3GSとドコモ、SoftBankのSIMの組み合わせで一度比較しています。
その時分かったSoftBank利用時のアンテナマークフル点灯になる電波強度の閾値の甘さは「これ反則だろ」と言いたくなる程でした。
当時のスクリーンショットもあるのですが、今回このエントリを書くにあたって(auを含めて)改めて比較をやり直してみました。
ちなみにiPhone 3GSのOSバージョンはiOS4.3.3+JBとなります。

ドコモ
フィールドテストモードによる電波強度の値は-81dBmで、アンテナマーク表示は4本。

SoftBank
フィールドテストモードによる電波強度の値は-97dBmで、アンテナマーク表示は5本(フル点灯)。
両者の電波強度の差は-16dBmもあるにもかかわらず、アンテナマーク表示だけ見るとSoftBankの方が電波状態がいいように見えてしまいます。
この差はかなり露骨で、明らかな作為を感じざるを得ません。
ちなみにauだと(端末はiPhone 4S/iOS 6.1+JB)

フィールドテストモードによる電波強度の値は-104dBmで、アンテナマーク表示は1本。
iOSのバージョンが異なるため、厳密な比較にはなりませんが、SoftBankだと-97dBmでアンテナマークフル点灯、ということから考えると、恐らくこの電波強度だと4本になるのでは、と思われます。
こちらの方が電波状態がよくない状態での比較であることもあり、差がより露骨ですね。


以前auiPhoneを扱い出す前にiPhone 3GSを使って比較した際は当時iPhoneは日本ではSoftBankの独占販売だったため、他キャリアとの比較を考える必要がなかったこともあり「iPhone販売キャリアか否かでアンテナマーク表示の閾値を変えている?」という思いの方が強く(そもそもiPhoneというメーカーの力が強く、キャリアのコントロールが効かない端末のファームウェアの仕様に対してSoftBankが口を挟めるのか、というのもありましたし)、SoftBankの電波状態を意図的によく見せる策略、とはあまり思っていませんでしたが、実はこちらの方が正しかったようです。


上にも書いた通り、その気になればメーカー/キャリアが恣意的に操作することも可能なアンテナマーク表示はあくまで目安ですから、厳密な電波状態の比較にはフィールドテストモードなどを使ってdBm値で比較する必要があるのですが、上でリンクしたサイトに

実際の電波状況との乖離が激しく、アンテナ表示本数を電波状況の目安と考えているユーザーにとっては、気になる事態となっています。

と書いてあるのには「おまえはアホか」としか言いようがありません。
ガラケー時代にはアンテナマーク表示が電波強度の唯一の基準、と言える状態でしたが、スマホ時代の今ではフィールドテストモードやアプリを使って厳密な電波強度測定ができますから、「厳密な電波状態の比較にはフィールドテストモードなどを使ってdBm値で比較するのが常識」だと私は思っているのですが、未だにそのことが分かっていない人が多い、ということでしょうか。


余談ですが日本国内キャリア向けAndroid端末は意図的に(?)厳密な電波強度の把握がしにくくなっているのが不満です。

このように海外市場向けのAndroid端末(ここではGalaxy Note GT-N7000)は設定画面から端末状態を開けば(Settings→About Phone→Status)そこで電波強度をdBm値で確認できるものが多いのですが、国内キャリア向けAndroid端末ではできないものがほとんど。
しかも*#*#4636#*#*のコマンドを受け付けずTestModeが開けない端末も多く、「日本国内キャリア各社は自社の厳密な電波強度状況をユーザーに知られたくない」と思っているのではないか、という穿った見方をしてしまう程。
とは言え彼らがそんな姑息なことをしてもフィールドテストモードアプリ(Cellumapとか)をインストールすれば済む話なんですけどね。