Xperia rayにアイスクリームを食べさせた(北米味)

Android 4.0(ICS)搭載のXperia acro HDをを使ってみてXperia+ICSの良さが分かったので、ドコモ版Xperia ray(SO-03C)もICSへバージョンアップすることにして以前入手しておいた北米版(ST18a)ICSファームを焼きました。
ファームの在処、ROM焼きの方法などの情報についてはXDAを探せば見つかるので必要があればググってください、ということで割愛。

バージョンアップ後は起動時のメーカーロゴがソニーロゴに(でもXperia acro HDはICSアップデート後もソニエリロゴのまま)。
この後Xperiaロゴが表示されるだけで起動し、余計なロゴが次々と表示されるドコモ版とは違いスッキリしているのがいいところ。

(左)端末のOSバージョン情報。
機種名がドコモ版の型番であるSO-03Cから北米版Xperia rayのものであるST18aに変化し、Androidのバージョンも4.0.4となっています。
(右)隠れFOMAプラス対応端末である北米版のファームを焼いたため、FOMAプラス対応も当然維持されています(Working BandsにW-CDMA Band 6の表示がある)。
とは言えこれに関しては国際版(ST18i)のファームであってもFlashToolでROM焼きする際に「Exclude Baseband」にチェックを入れて焼けばラジオファームがアップデートされず(ドコモ版のままで残る)、FOMAプラス対応も維持されるのだと思いますが。
私は以前ここでそのことをやたらと気にしていましたが、しかしそういったことはXperia通の間では当たり前のことなので問題視されていなかった、というのが事の真相だったのかな、と今となっては感じます。

(左)ロック画面もXperia acro HDと非常に近いものに変わりました。
Android 2.3(Gingerbread)時代にインストールしたLockscreen Calendarもちゃんと動作しています(ただしGalaxy S II+ICSと同様の一列表示になっている:ここはXperia acro HDとは違う)。
しかしXperia acro HDにある時刻表示部分を左右にフリックしてアプリ起動/ミュージックプレイヤー操作のショートカットを呼び出す機能は付いておらず、それから比べると劣化バージョンと言えるものとなっています。
(右)root化し、CWMも導入したので、今では当たり前となっている機能であり、時期的にも搭載されていて当然でありながらなぜか標準搭載されていない(Xperia acro HDもそうですが…)通知領域から各種設定を切り替えるトグルを導入し、フォントも入れ替えました。
フォントに関しては日本語IME(POBox Touch)が導入されているにもかかわらず日本語フォントが搭載されておらず、日本語の表示はCJKフォントによるものになるのが不満。
かつてはエリクソンとの合弁であったとは言え日本メーカーの端末なのですから、そういったことにも気を使って欲しかった、と思わずにはいられません。
とは言えAndroid 4.1(Jelly Bean)であればモトヤフォントが標準搭載で、端末ロケールを日本語にすればそれが適用されて「直」などCJKフォントでは表示がおかしくなる(中国語の漢字で表示される)漢字もきちんと表示されるのですが。
Android 4.1以降では端末ロケールを日本にするとフォント設定を司るXMLファイル(/system/etc/にある)がデフォルトの「fallback_fonts.xml」ではなく日本ロケール用の「fallback_fonts-ja.xml」に切り替わり、標準搭載のモトヤフォントが使われるようになります。
ですから海外版の端末であってもロケール設定を「日本」に切り替えるだけで(ロケールの選択肢に日本がない場合はMoreLocale2で切り替える)日本語フォントによる日本語表示が可能になる、というわけです(ロケールを日本に切り替えることなく日本語フォントを使いたい場合はfallback_fonts.xmlの編集が必要なため要root)。
この件については以前ここで「後でまとめよう」と書いておきながら忘れていましたね。

ドコモ版ファームとは異なりテザリングAPN強制切り替えはありませんから、このように他社SIM(ここでは3HKプリペイドSIM)でテザリングできていますし、テザリング中もAPN設定がブランクになる、といったこともありません。
そしてドコモ版端末では利用できないBluetoothテザリングも可能です。

Gingerbreadの時は画質がいいにもかかわらず、シャッターキーがない(ハードウェア/ソフトウェア共に)という非常に使い勝手の悪いUIが評価を下げていたカメラですが、よほど評判が悪かったのかICSではシャッターボタンが搭載され、ハードウェアシャッターキーがない以外はXperia acro HDに非常に近いUIとなり使い勝手が向上。
しかしXperia acro HDの悪いところも取り込んでしまったのか、画質がかなり悪くなってしまったのが残念。
とは言え「私の手持ち端末(デジカメ専用機も含む)の中で最大の画素数を持ちながら画質最悪」のXperia acro HDよりはマシですが…
ちなみに海外版ファームだからか、最初からシャッター音をOFFにする設定があります(build.propの編集は不要)。


Xperia rayの搭載RAMは512MBなので、快適に動作する端末スペックとしてRAM1GBを推奨するICSは荷が重いのでは、と思っていましたが(私がバージョンアップを躊躇していた理由の一つ)、意外にもスムーズに動作し、たまに動作のもたつきを感じるもののそれ程不満はありません。
恐らくこれまでは余計なドコモアプリ、仕様が足枷になっていたものの、海外版ファームによるICSアップデートでそれがなくなり、それがパフォーマンスの低下を最低限にとどめたのでは、と思っています。
まぁメイン端末として使っているわけでないのでそれ程気していない、というのもあるかも知れませんが。


そういうことで全体的な満足度は高く、バージョンアップしてよかったと思っていますが、当然「これはいただけないな」ということもいくつかあります。
いくつか挙げてみると…


・カメラの画質の悪化
これについては上に書いた通り。
・バッテリーの持ちが悪くなった
やはりICSアップデートによりCPU負荷が高くなり、それがバッテリーの持ちに悪影響を与えているのでしょう。
WiFiアクセスポイントの認識、接続に時間がかかる点は改善されず
・携帯回線の電波受信感度の悪さも変わらず
これらに関してはハードウェアに根本的な問題を抱えているため、ファーム更新では改善されないんでしょうね。
・USBホスト(USB OTG)対応にはならない
まぁこれに関してはroot化されていればここにある方法でUSBホスト対応化できるので問題ない、とも言えますが。
・ADDPhoneが使えない

マルチナンバーを契約している私にとっての必須アプリとも言えるADDPhoneですが、ICSにアップデートされたXperia rayではこのようにICS/Jelly Bean搭載サムスン端末同様謎のプリフィックス「*31#」が番号の頭に付いてしまい、発信に失敗します。
Xperia acro HDでは問題なく使えていたのでこれは意外でした。
ADDPhoneが正常動作しない端末は全て海外版端末(またはファーム)であるという共通点があるので、もしかするとマルチナンバーサービスを利用するための非公式アプリ、もしくはマルチナンバーサービス自体にドコモ版端末以外を排除する仕組みがあるような気がしますが、アプリに頼らずマルチナンバー付加番号切り替えのサフィックスを使う方法(番号の最後に「*59x#7」を付ける)であれば問題なくサービスを利用できますから、海外版端末であることが問題の原因とは思えません。
一度build.propをゴニョゴニョして試してみるかな。


ADDPhoneが正常動作しないのは誤算だったものの、ICS搭載端末としての評価は高いですから、それを理由にGingerbreadに戻すつもりは全くなし。
ICSアップデートにより更なるパワーアップを実現したことで、これからもコンパクトなサブ端末として活躍してもらうことになりそうです。