もう2ヶ月近く前のことになるのですが、訳あってXperia acro HD(SO-03D)にその海外版であるXperia acro S(LT26w)のAndroid 4.1.2(Jelly Bean)のファームを焼きました。
ファームウェア(FTFファイル)の在処やその書き込み方、rootの取り方、その他注意事項等についてはググれば情報が出てきますから詳細については割愛しますが
自作ライダー: SO-03DをAcro Sの6.2.B.1.96にアップデート+root取得+CWM Recovery導入
あたりが参考になると思います。
そしてファームウェアやroot化に必要なrootkit、カーネルのみのFTFファイルはXDAで探しましょう(英語が分からんから云々、というコメントは無視します)。
もちろん実際にやる場合は情報をしっかり調べた上で自己責任でお願いします。
注意事項としては
・Jelly Beanファームを焼く前にドコモ版ICSファームのFTFファイルをSUS(Sony Update Service)とFlashToolを使って作成しておくこと(やり方についてはググってください)。
これがないと当然ドコモ版に戻せませんし、Jelly Bean化の作業中に間違えてBasebandを書き換えてしまった際のリカバリーにも必要ですから忘れないように。
コメントやTwitterで「FTFくれ」といったことを書いても無視します(コメントは削除します)。
・おサイフケータイ機能を利用している場合はそのデータを他の端末orICカードに移行しておくこと。
海外版ファームですから、当然日本国内向け機能(おサイフ、ワンセグ、赤外線、エリアメール)は使えなくなります。
エリアメールについては事前にAPKをバックアップしておき、ファーム書き換え後それを書き戻しても動作しません(アプリ自体は起動するが、警報が鳴らない:確認済)。
ですからおサイフ機能を利用していて、そのデータが端末に残っている状態だとそれを読み出せなくなり、金銭的な損害が出る恐れがあるので、データの移行は絶対に忘れないように。
・FlashToolでファームを書き込む際「Exclude Baseband」にチェックを入れる。
そしてこれまた当然ですが、acro HD(SO-03D)とacro S(LT26w)とではW-CDMA対応バンドが異なります。
(acro HDの800/850/1700/2100MHzに対しacro Sは850/900/1900/2100MHz)
よってExclude Basebandにチェックを入れずにファームを書き込むとBasebandがacro Sのそれに書き換わってしまい、FOMAプラスやイーモバイル3Gを掴めなくなります(全てのバンドを掴めなくなる、という話もあり)。
もしそうなってもドコモ版のFTFファイルがあればBasebandのみをFlashToolで書き込む(Baseband以外を全てExcludeする)ことでリカバリーできますが、気をつけましょう。
Jelly Beanファーム書き込み後の端末情報画面。
左が本来のそれ(モデル番号が「LT26w」になっている)ですが、産経新聞アプリを利用するためにbuild.propを書き換えたのが右(モデル番号が「SO-03D」になっている)。
このようにXperia acro Sのファーム書き込みによるJelly Bean化はうまくいきました。
ドコモ版ICSで特に困ることもなかったし(root化してあれこれいじってますからね)、Jelly Bean化すると日本国内向け機能が消えますから(ほとんど使ってませんでしたが)、当初はやるつもりはなかったのですが、それにもかかわらずなぜ今回Jelly Bean化することにしたかというと…
Android 4.1以降(Jelly Bean/KitKat)にすると通話録音機能が利用できるようになるから(要root)。
Xperia向けのXposedモジュール「SemcPhone Patcher」を導入すると隠し機能である通話録音機能が有効化され、通話中のやりとりを録音することができるようになります。
電話での「言った、言わない」といったトラブルを避けたい、と思っていることもあり以前から通話録音をしたい、ということでGoogle Playにある通話録音アプリをいくつか試したことがあるのですが、サードパーティー製の通話録音アプリは端末毎の相性がきつく動作しないことが多いこともあり(特にXperiaは顕著)いずれもきちんと動作しませんでした。
たいてい片録音になってしまいますし、中には着信を受けた瞬間端末が再起動、というものもありました。
通話録音は既にカスタムROM(NeatROM)を導入しているGalaxy S IIで可能になっているのですが、現在のメイン音声通話端末はXperia acro HDなので、できればこちらで使える方がいい。
そんな中このXposedモジュールのことを知り、「隠し機能を呼び出す方式のためちゃんと動作するはず、使いたい!!」ということでJelly Bean化を決断しました。
一応ICSでもこのXposedモジュールを試したのですが、通話録音のメニューが出ませんでした(Jelly Bean以降の隠し機能なので当然)。
SemcPhone Patcherをインストールし、モジュールを有効化して再起動。
すると音声通話が確立している状態で右上のメニューを開くボタンをタップすることで「通話録音ON」が出てくるようになります。
ここで「通話録音ON」をタップすることで通話録音が開始されます。
通話録音中。
録音途中で止めたい場合は再び右上のメニューボタンをタップし、「通話録音OFF」をタップすれば録音停止できます。
もちろん通話が終了すれば自動的に録音はストップします。
録音データのファイル形式はMP3となり、PCで扱いにくいAMR形式での録音となるGalaxy S II+NeatROMに比べ扱いやすいのがいいところ。
本当のことを言えば発着信と同時に自動的に通話録音が開始されれば尚いいのですが、片録音になったりせずちゃんと録音できるだけでもありがたいので不満はありません。
海外だと相手の許可なく通話を録音することは違法、という国もありますが(それ故隠し機能になっていると思われる)、日本では特にそういった規制はなく、法的には通話録音し放題です(とは言え当然相手に配慮することは必要)。
国際LTE版Galaxy Note 3(SM-N9005)のマニュアルから抜粋。
「多くの国において相手の事前の許可なく通話を録音することは違法となる」とあります。
しかし日本では上記の通りそのような規制がないこともあり、コールセンター等に電話した際に「通話内容は録音されます」というアナウンスが流れなくても実際には通話は録音されている、と考えてよいでしょう。
このような「相手側は一方的に通話を録音しているのに、それに対しこちらは同じことができない」という不満も私が通話録音にこだわる理由の一つです。
上記の通り法的な問題がある国があることもあり、簡単にはいかないでしょうが、通話録音機能がもっと一般的なものになって欲しいところです。
Xperia acro HDをJelly Beanにアップデートしてよかったこと、イマイチだったことについては改めてまとめるつもりです。