日本人差別のダブルスタンダードは止めろ!!

先日総務省が外国人訪問者への便宜を図るため電波法の運用を見直し、彼らが持ち込む技適マークが付いていないモバイル端末の利用を合法化する、という方針を示しました。


総務省、2015年より訪日客に限り技適マーク無しの端末使用を許可へ | リンゲルブルーメン


外国人訪問者に安心して自分が持ち込んだモバイル端末を使ってもらいたい、というこの方針の趣旨は理解できるのですが、技適システムそのものを見直すわけではないため、これまで通り日本人が技適マークのないモバイル端末を使うと違法になります。
つまり同じ端末を使っていても外国人訪問者は合法、日本人は違法となってしまうダブルスタンダードで、これは本当いただけない、と言うか完全なる日本人差別。
以前から「同じ技適のない端末が同じキャリアのネットワークに接続されていても挿しているSIMが海外のそれで、ローミング接続であれば合法(というかグレーゾーン?)、接続キャリアのSIMであれば違法」というダブルスタンダードがありましたが、それ以上にひどい話。
日本人は従順で「お上」という意識があるため、政府のやることに文句を言うことはないけれど、外国人はこういう理不尽なことに対してははっきりと文句を言う、だから彼らに対しては規制を緩和し、自国民に対しては今まで通りの規制を課す、といったことをやるわけで、本当腹の立つ話です。


しかしこういった理不尽なことが大手を振ってまかり通る一番の理由が日本人に対しても技適のないモバイル端末の利用を合法化すると携帯キャリア(MNO)としては非常に都合が悪い、ということでしょう。
(仕様が異なるとは言え)同じ端末であってもSIMロックありの国内キャリア版よりも、SIMロックフリーの海外版の方が安い、といったことが普通に起こる国ですから(例えばGalaxy Note 3がそうでしたね)、もし技適による規制がなくなれば端末価格の安さ、選択肢の多彩さ、自由度の高さから海外端末を選ぶ、といったことがこれまでのモバイルガジェットマニヤやパワーユーザーだけでなく一般層にも広がる可能性もありますし、海外メーカーもそういう層を狙って(本来の目的は海外ユーザーの日本訪問時の利用を考慮して、ですが)FOMAプラスやLTEガラパゴスバンドに標準対応する端末を出してくる、といった流れになるとキャリアとしては困りますからね。
そういえば今日総務省が国内携帯キャリアに対してSIMロック解除を義務化する、という方針を示しましたが、それによってSIMロックがあってもなくても端末の値段が高く、ガラケーメールなどキャリア独自サービスで縛る日本の携帯電話市場が変わることはないでしょうし。
別にSIMロックがなくなっても、IMEI制限とかネットワークロックとか、他にも縛る方法はあるのですから(そういったことに言及しない日本の一般メディアはお花畑杉)。
この件に関しては他にも言いたいことはたくさんありますが、本エントリの趣旨から外れるのでここでは割愛。


ですから日本人はこういった理不尽なことに対して黙っていないで「これはおかしい!!」と声を挙げることが必要です。
これはこの件に限らず、世の中の理不尽なこと全てに対しても同様。
日本人は律儀で従順、権威に弱く、自分の頭で物事を考えて判断、行動できない、という傾向が強い人種ですが、政治屋、役人、企業はそれをいいことにやりたい放題やって、結局それが回り回って自分たちが様々な不利益を被ることになる、ということを理解して欲しいところです。
そういう声が強まれば本来やらなければならないこと、つまり電波法の抜本的な改正がなされてこのような日本人に対する差別的なダブルスタンダードもなくなる、という可能性が限りなく小さいとは言え(でもゼロよりはマシ)あるのですから。
日本の電波法は携帯はGSMではなく日本独自規格のPDCで、WiFiBluetoothはまだ存在しない、またはほとんど普及しておらず、グローバルに使われる無線通信規格/機器のことを考慮する必要がなかった20世紀の遺物とも言えるもので、そのような規格/機器が幅広く使われるようになった今日では技適システムなど問題が多いため、改正は必須なのですから。


ついでに言うと日本人の役所、役人に対して過剰に媚びる態度は本当腹が立ちます。
ですから私は「お上」「お役所」「天下り」といった「官は民よりもエラい」というニュアンスのある言葉が大嫌いで、日本語から消えて欲しい、と思っている程。
それ故こういった言葉は基本的に使いません(「お」なんか付けず単に「役所」でいいじゃん)。
公務員は"civil servant"である他の先進国とはエライ違いで、こういったところでは日本は発展途上国と変わらないなぁ、と思わずにはいられません(しかし賄賂漬け、ということではないのだけは救い)。