詐欺を防ぐには固定電話を解約しよう

大きな社会問題としてメディアに何度も取り上げられ、様々な対策が取られているにもかかわらず減るどころか逆に増加傾向にある振り込め詐欺(そう言えば「お母さん助けて詐欺」という呼称はどうなった?)。
しかし私に言わせれば「根本的な対策が全くなされていないのだから、減るわけない」としか言いようがない。
なぜなら


「固定電話が持つ脆弱性を完全に放置している」


から。
この件については2年程前にSoftBankが契約時に固定電話番号を要求する理由について書いたエントリにも書きましたが、その脆弱性とは「固定電話は基本的に着信を受けてみないと誰からの電話なのかが分からないため、悪意を持つ人間がそれにつけ込む余地がある」というもの。




振り込め詐欺に関するニュース報道のスクリーンショットをいくつか。
このように詐欺の発端はほとんどの場合電話なので、そこを対策すれば詐欺の被害を大幅に減らせるはずなのに、そういったことは全くしないし、メディアも全くそれについて報道しない。
上記過去エントリでは取るべき対策として

NTT東西はナンバーディスプレイサービスを無料化して、詐欺の被害に遭いやすい高齢者にナンバーディスプレイサービス対応の電話機を配布する、そしてそれの配布時に「かかってきた電話を受ける前にナンバーディスプレイの番号表示を確認し、見知らぬ番号からの着信は受けない、もし受ける場合は詐欺の可能性に警戒する」といった詐欺対策の講習をする、といったことをすれば高齢者の詐欺の被害をかなり減らせると思うのですが…

と書いたのですが、当然のことながらこういったことは実現していない。
だから詐欺の被害が減らないのも無理はありません。


しかし携帯電話の音声通話定額制が実現した今新たな対策法が取れるようになりました。
それは「固定電話を解約し、携帯電話に一本化する」こと。
全ての携帯電話には発信者の電話番号を表示する機能が搭載され、しかも標準サービスとして無料で利用できますから(固定電話のナンバーディスプレイサービスは432円/月。何このボッタクリ)、上記の固定電話が持つ脆弱性はありませんし、音声通話定額制により料金もむしろ割安になります。
固定電話と音声通話定額契約の携帯の料金を比較してみると(税込、ユニバーサルサービス料込)…


固定電話:1839円(NTT西日本電話加入権あり、ダイヤル回線、大都市圏(3級取扱所)の場合、詳しくは 西日本/東日本)
携帯の音声通話定額制:2379円(ドコモの場合、音声通話のみの3Gガラケー契約、詳しくはこちら)


となり、このケースでは500円程の料金差がありますが、固定電話の通話料は完全従量制なのに対して携帯は定額(私の大嫌いな0570番号(ナビダイヤル)等は除く)ですし、固定電話で携帯と同様の着信番号通知を利用したければ上記の料金に+432円(それに加えてナンバーディスプレイサービス対応の電話機)ですから差が更に縮むこともあり、ほとんど発信しない、というケースでもない限りトータルの料金は携帯の方が安くなるでしょう。
音声通話定額制がなかった頃は携帯は基本料金は安いものの、通話料金、特に市内通話が高くつくという理由で携帯への完全移行はあまりおすすめできなかったのですが、音声通話定額制の登場により移行へのハードルがなくなりました。
料金においても使い勝手においても携帯の方が優れており、もはや固定電話には携帯のような2年縛り、といったものがない、というメリットしかない、と言えそうです。


しかし詐欺を防ぐ、という観点で言えば固定電話を解約し、携帯に移行するだけではダメで、更なる対策が必要になります。
まずは電話に対する考え方、習慣を変えること。
上のスクリーンショットにもあるように、携帯に電話がかかってきて騙された人もいますから、固定電話のクセで無条件に着信を受けると危険です。
上記の過去エントリからの引用にあるように、電話がかかってきたら受ける前に発信者の電話番号を確認し、知らない番号からの着信は受けない、受ける場合は詐欺や悪徳商法の危険に警戒する、といった習慣を付ける必要があります。
そしてもしそのような着信を受けてしまったら「怪しい」と思った時点で容赦なく通話を切断。
相手に失礼、といったことは全く気にする必要はありません(営業/詐欺電話をかけてきた相手の方が失礼なのですから)。
そして万全を期すなら(そしてもし可能であれば)そういった着信を受けないよう着信のフィルタリングをするようにした方がいいでしょう。
フリーダイヤル(0120等で始まる番号)は営業電話の可能性が高いので、無条件で着信拒否に設定するべきですし(私はそうしています)、極端なことを言えば電話帳に登録されていない番号は全て着信拒否、でもいいと思います。
こうすれば詐欺師がCaller IDを偽装し、家族等からの通話に見せかけない限りは安全、と言えますから。
しかし非通知着信拒否はできても、着信のフィルタリングはガラケーでできるのか、というのが気になりますが。
Android端末であればアプリ(私は「CallFilter」を使っています)を使えば可能ですし、端末によっては標準で可能ですが(サムスン端末:Galaxyシリーズ など)、ガラケーではどうなのか、というわけです。
でも恐らく搭載されていないだろうなぁ。
って言うかガラケーは高齢者の利用が多いのだから、着信フィルタリング機能は標準搭載にしろよ、と思うのですが(特にらくらくホンは)。


それにしてもこのように詐欺対策には決定的とも言える方法があるにもかかわらず、そういった動きは全くないし、メディアも何も言わないのは不思議でなりませんが、もちろんそれには理由があります。
それは「そうなると都合が悪い人たちが多いから」に他なりません。
固定電話を解約して携帯へ一本化、という流れができて固定電話解約の増加が更に加速すると利益が減ってしまうNTT東西は言うまでもありませんが、他にも電話セールスに依存している企業や、世論調査を行なうマスゴミ各社といったところは詐欺に対する脆弱性を持つ固定電話の加入者が減ってしまうと非常に都合が悪い。
彼らにとってはかけた電話を受けてもらえなければ目的を達成できないのですから当然。
ですから「決定的な対策」に対しては何も言わずダンマリし、人々に知られないようにしているのです。
ガラケーに着信フィルタリング機能や通話録音機能を搭載しないのもそのためでしょう(後者はスマホもですが)。
そしてそれによって詐欺の被害に遭う高齢者が増えようが全くお構いなし。
本当ひどい話です。
しかしここまで書いてきたように彼らが何もしなくても、我々の側でとれる対策はちゃんとあるのですから、それを実行に移せばいいだけの話なので恐れることはありません。
余談ですが世論調査に使われるRDD(Random Digit Dialling)方式は固定電話が対象ですから、結果が固定電話の保有率が高い高齢者の意見を反映したものになりがちで、調査の精度的にどうなのか、という気がするのですが、どうなんでしょうかねぇ。
まぁ世論を「政治屋や役人といった権力層の都合のいいように操作したい」マスゴミのやることだからそんなことは関係ないのか。


ただ今お盆休み、ということで地元に帰省されている方も多いと思いますが(私は去年あまりに暑くて懲りたので帰省はなし)、この機会に高齢の家族がいる方は詐欺の被害をどう防ぐかについて話をし、こういった対策を検討してみてはいかがでしょうか。