結局後出ししてきたか:au LTE対応データ端末

auが11/2からサービス提供開始する800MHzバンド利用のLTEサービス(そういえば1500MHzバンドはどうなった)に対応するデータ端末を出すそうです。


KDDIがLTEルーターを11/2発売 iPhone 5とは異なる800MHz帯を採用(週アスPlus)
800MHz帯の高品質LTEに対応したデータ通信端末の発売について(KDDIのプレスリリース)


「法人向け」とのことですが、オンラインショップやauショップで取り寄せてもらう、という方法で個人でも契約、購入できるそうです。
恐らく以前auから法人向けメインで発売されたHTC Touch ProベースのQWERTYキーボード搭載Windows MobileスマホE30HTと同じような扱いになるのでしょう(でもこれは法人向けメインと言いつつ家電量販店でも売ってたな:ただし「お取り寄せ」だったけど)。
「法人向けメイン」という変な縛りをかけずに普通に売ればいいのに(そして冬モデル発表会の時に同時発表すればよかったのに)と思わずにはいられません。


気になる利用料金は7GB分の通信料を含み、それを超えた場合は速度制限or追加料金となる「LTE フラット for DATA」が5,985円、これにISP料金525円、ユニバーサルサービス料3円が加算されトータル6,513円/月。
個人的には+WiMAXデータ料金(4,938円/月)ぐらいの利用料金でなければ市場での競争力がない、と思っていただけに残念です(それ故法人向け?)。
当然私のLTE導入の選択肢にもなり得ません。


そしてこれはスマホ向けLTE料金でも同様ですが、利用可能データ量が7GBのプラン一つしかなく、他の選択肢がないのは本当いただけません。
ユーザーのことを考えればキャリアは複数の選択肢を提供し、ユーザーはその中から自分の利用スタイルに合ったものを選ぶ、というのが本来あるべき姿のはずですが(というかかつてはそうなっていた)、実際はキャリアが自分たちに都合がいい料金プランをユーザーに強制し、利用量が少ないライトユーザーや自分がどのような利用法をするかをきちんと把握してそれに合った使い方ができるスマートユーザーから搾取する、という市場構造になっている。
まぁ「自分がどれぐらい通話/データ通信を利用するか」といったことを把握できず、それ故自分に合った料金プランはどれかを判断できない消費者が多すぎるのと、そういったことをちゃんと説明した上で販売できるショップ店員が少ないのが諸悪の根源ですが。
そしてそのようなユーザーが単に流行っている、周りの友人、職場の同僚がみんな持っている、といったことだけで安易にスマホに手を出す。
そういったこともありキャリアは「料金は高くなるが、『パケ死』といった心配が少ない」料金プランに絞ることで料金体系のシンプル化とリスク回避を図ることになるわけです(そして上記ライトユーザーやスマートユーザーからの搾取も可能と言うことなし)。
このようなユーザーの無知(というか「知ろうともしない」姿勢)がこのような結果を招くことになってしまったにもかかわらず「利用料金が高い!!」などと言うのですから呆れます。
それって自業自得じゃないですか。
そういったことをきちんと考えて多彩な選択肢の中からキャリア/料金プランを選びたい私のようなユーザーからすればいい迷惑です。


ついでに言うとパケット通信を利用するためには俗に言う「ISP料金」が別途かかるのも不思議です。
このように通信料とは別に課金されるISP料金は恐らくドコモのMopera Uが最初だと思うのですが(NTT法の縛りでこうなった?)、気づけば全キャリアが同じような形でパケット通信の利用に別料金を取るようになってしまいました。
SoftBankの3Gガラケー契約で利用できるAccess InternetアクセスポイントにはISP料金はかかりませんが(=Sベーシックパックの契約不要)、完全従量課金ですし…
通信料金ではなく、パケット通信の利用自体に料金を課す、というのは恐らく日本だけではないでしょうか。
少なくとも私は日本以外の国でこのような料金制を見聞きしたことがありません。
ドコモに至ってはガラケー契約だとiモードの契約なしには一切パケット通信が利用できない上にSIMロックフリー端末での利用やテザリング、PC向けモデムとしての利用には更にISP料金がかかる、という極悪非道ぶり。
とは言えスマホ契約の場合はSPモードが利用できますし、追加契約するISPMopera UライトプランであればISPセット割が適用となり相殺されますからまだ許せると言えますが、SIMロックフリー端末でパケット通信が利用したいだけなのに全く使わないiモードを契約させられるのは腑に落ちません。
かと言ってSPモードはドコモ版スマホでしか利用できない(IMEI制限がある)ため海外版SIMフリー端末で使うことが前提である私の選択肢には入りませんし…
それ故私のドコモ音声回線は契約上はスマホ(Xperia ray)になっているものの、パケット通信プランはSPモードではなくiモード+Mopera Uライトプランにしています(データ通信はIIJmio SIMで行なっているので、実際には使っていませんが)。
とにかくこんな「世界の非常識」な追加料金なしにパケット通信が利用できるようにしてもらいたいものです。


以前から何度か書いていますが、携帯電話業界にはこの手の「搾取の罠」がいくつもあるのが問題であるにもかかわらず、IT系を含む各種メディアがこれを問題視せず、全くと言っていい程報道しないのはいかがなものか、と思います。
「ライトユーザー向けのより安い料金プランも設定すべき」といったことすら言わないのには本当腹が立ちます。
まぁ彼らにとってはユーザーの利益よりもスポンサー様の利益が大事、新製品の情報が得られなくなったり、テスト用端末を借りられなくなる方が困る、ということでしょうね。
基本的に民間がやることに役所は介入するべきではない、というのが私の考えなのですが、キャリアによる搾取構造がここまで酷くなってしまうと総務省消費者庁による何らかの規制が必要ではないか、と思わずにはいられません。