Biglobeが何だかイケイケ

電力会社が本来取るべき対策を取らず、安易に節電要請することを批判する(恒例の?)エントリをしたせいで遅くなりましたが、昨日BiglobeがドコモMVNOサービスの拡充を発表しました。


BIGLOBE、月額980円でLTEプランを発表、シャープ製端末も - ケータイ Watch


内容としては1GBまで速度制限なし、それを越えると128Kbpsに速度制限で983円/月(ユニバーサルサービス料を含む)の「BIGLOBE LTE・3G」エントリープランの追加と、同サービス向けにシャープ製端末の提供を開始する、というもの。
前者の「BIGLOBE LTE・3G」エントリープランですが、これまで1000円/月程度のMVNOサービスプランでは従量データは500MB程度、というのが一般的ですが、その倍の1GBの従量データを含んで同レベルの料金、そして同社が提供するWiFiサービスも利用可、というのが魅力的です。
もちろん契約縛りはなし(ただし端末セット契約の場合は2年縛りあり)。
Biglobeが競合他社に対し新たな競争を仕掛けてきた、と言えるサービス内容です。
これは「健全な競争」が行なわれているからこそであり、これだからMVNOの世界はおもしろい。
何度も言いますが、高い端末、料金、複雑怪奇なオプションプランといった罠を仕掛けてユーザーから搾取することばかりを考えているMNOは見習って欲しいところです。


そして後者ですが、同サービス向けの端末としてNexus 7 LTE(2013)に加えドコモの夏モデル端末AQUOS PHONE ZETA SH-06Eベースの端末を提供するとのこと(上記の通り2年縛り付き契約が必要)。
親会社NECスマホの開発を中止したからか、その代わりにシャープ端末を提供するようになったようです。
今年の夏モデル端末がベース、ということで高いスペックを持つはずですから、安い代わりに今となっては低スペックとしか言いようのない端末しか提供していない競合他社に対するアドバンテージ、と言えそうです。
って言うかそもそもMVNOキャリアが販売している端末って売れてるんですかね(Nexus系端末は除く)。


今回のBiglobeの新サービス開始でMVNOキャリア間の競争が更に激しくなるのは間違いなさそう。
1000円/月以下で従量データ1GB、というのは「500MB程度ではちょっとなぁ」と思う層に訴求する内容であることもあり、競合他社としてはそれに対抗する必要が出てきますから。
そして付帯するWiFiサービスも「単に利用できます」というだけでなく、同社が提供するオートコネクトアプリによって最適な接続の切り替えができる、というのも売り。
競合他社も自社サービスにWiFiサービスを追加する動きが出てくると思われます。
欠点としては従量データを使った速度制限なしの通信と、定額だが低速の通信との切り替えができず、通信速度を必要としない使い方(ネットラジオの聴取など)をする場合は低速通信に切り替え、従量データを節約する、という使い方ができないこと。
私はこれができるIIJmioのサービスを利用していて非常に便利に感じていることもあり、やっぱりこれには対応して欲しかった。
個人的にはこれができないMVNOサービスは利用したくない、選択肢に入らない、と言い切っていい程ですから、今後追加対応することを期待したいところです。
従量データが1GBあるし、オートコネクトアプリでLTE/3GとWiFiのシームレスな切り替えができるのだからそれでも問題ない、とBiglobe側は考えているのかも知れませんが…
そしてこれだけ料金が安いと気になるのが通信速度。
低料金を実現するために回線容量をかなり削っている可能性があり、それが通信パフォーマンスに悪影響を与えるのではないか、という懸念があるわけです。
とは言えIIJmioも最近では通信速度の低下が酷く、下りはLTEよりも3Gの方が高速なのが常ともいえる状態だし、その3Gも最近は速度低下傾向が見られるようになっていますから(しかしLTEで10Mbps以上出ているユーザーもいるのが…)、どっちもどっちかなぁ。
って言うかそろそろ利用料金で競争するのは止めにして、回線品質で競争して欲しい、と私は思ってますがね。
MNOとの直接契約に比べ低料金であることもあり、通信速度がそれよりも劣るのは必然ですから、それについては文句はないですが、LTEなのに3Gよりも遅い、とかいうのはやはりいただけない。
ですから今回Biglobeが仕掛けた低価格競争に乗らず、それよりも他MVNOキャリアよりも通信速度の低下が少なく、快適な通信ができる、ということを売りにするところが出てきてもいいよな、というわけです。
個人的にはIIJmioにはそういう方向へ進んで欲しいなぁ、と思っていますが…


最後にもう一つ。
以前同じようなことを書いたことがありますが、IT系情報サイトでMNO各キャリアの通信速度比較についての記事は頻繁に(食傷気味なぐらいに)見かけますが、MVNOキャリアのそれはほとんど見たことがない。
なぜなんでしょうか。
利用する親回線が同じ(ドコモ)なので、通信速度にそれ程差が出ないと思われているから、というのが主な理由だと思われますが、個人的にはそういった記事を書くな、というドコモからの圧力があるからでは、と疑っています。
ドコモからすれば自社回線を利用するMVNOは回線提供先であると同時に自社のライバルでもあるわけですから、自社から顧客が流出し、MVNOキャリアに乗り換えられる要因となるようなことを書かれると都合が悪い、というわけです。
しかしこういった情報はMVNOキャリア選びにおける重要な判断要素となりますから、IT系情報サイト各社には是非このような記事を書いて頂きたいものです。
いくら契約縛りがないとは言え、個人が複数のMVNOキャリアの回線を契約して比較する、といったことは初期手数料の面で難しいですから(But if I had money to burn,I would do it)。