キャッシュカードをVISAデビットカードへ切り替え

私はジャパンネット銀行(以下JNBと略)の口座を持っており、同行が提供するオンラインVISAデビットカードサービスを海外プリペイドSIMのオンラインリチャージなどに利用することがあるのですが(先日もDTACプリペイドSIMのオンラインリチャージに利用)、このサービスに関しては個人的に不満なことがありました。
それは「なぜオンライン利用専用のカード番号発行サービスだけを提供し、オフラインでも使える実カードの発行をしないのか」ということ。
しかし今月からJNBのキャッシュカードは全てVISAデビットカード機能付きのものとなり、既存のキャッシュカードを持つユーザーも無料でそれに切り替えることができるようになりました。
まさに私が望んでいたこと、ということで即切り替え手続きをし、先週カードが届きました。

とは言えクレジットカードは既に複数枚持っていますから、VISAデビットカードとして実店舗/オンラインショッピングで使うことはまずないのですが、それでもこれが欲しかったのは海外旅行時に現地のATMを使って自分の銀行口座から直接現地通貨を引き出せるから。
もちろん海外のATMから現地通貨を引き出すのはクレジットカードでも可能ですが、キャッシングですから金利がかかりますし、多用するとクレジットカードの利用限度額にも影響が。
しかしこれなら自分の銀行口座から引き出すわけですから、当然金利はかからない(ただし手数料はかかる)ため、海外旅行時の現地通貨入手手段としてはクレジットカードよりも優れている。
そういうこともあり、旅行好きな私にとっては待ちに待ったサービスでした(とは言え海外旅行に関しては最近ご無沙汰ですが)。


それにしてもどうして日本の銀行は海外でも自分の預金を引き出せるキャッシュカード/デビットカードの発行をしないのでしょうか。
海外の旅行者にとっては本国で使っているキャッシュカードを利用して旅行先のATMから現地通貨を引き出す、という行為は当たり前のものになっているにもかかわらず(バックパッカーですら!!)、日本人旅行者の多くは未だに多額の現金(日本円/外貨)を持ち歩いているのが現実。
外国人旅行者に比べ多額の現金を持ち歩いている、という事実は海外で日本人旅行者が犯罪者に狙われやすい理由の一つになっています。
それ以前に海外でも日本で日常使っているキャッシュカードから現地通貨を引き出せる、というのは単純に便利。
にもかかわらず日本の銀行のほとんどは海外で利用できるキャッシュカードを発行しない。
不思議でなりません。
恐らく法的な縛りがあって、日本の銀行が海外で口座からシームレスに現地通貨を引き出す、というサービスは提供できないのでしょう。
それ故かJNBなど海外で利用できるキャッシュカードを発行している銀行も銀行口座から直接現地通貨を引き出すサービスではなく、VISAデビットカードという回り道的な手段を使っているものと思われます。
これだと海外のATMで口座の残高照会(Balance enquiry)ができない、といった欠点がありますから、「シームレス」とは言い難い(残高照会はオンラインでやればいい、ということかな)。
まぁそれでも利用できないよりは遙かにマシですから、喜ばしいことではありますがね。
かつて富士銀行が発行していた海外で利用できるキャッシュカード(みずほ銀行に引き継がれたのかなこれ)を以前持っていましたが、これも普通預金口座とは別に海外で利用する用の口座を作っておき、そこへ海外で引き出すためのお金を預けておく、というVISAデビットカード以上にシームレスとは言えないサービスでした。
キャッシュカードは一枚でしたが、通帳は二冊発行される、というのも面倒でしたし、結局口座/キャッシュカードは持っていたものの海外では一度も利用しなかったような気がします。
もし法的な縛りがあってできない、というのであればそういった規制はとっとと撤廃して、海外で直接日本の銀行口座から預金を引き出せるようにして欲しいですし、それが実現しないとしてもVISA/MasterCardデビットカードを発行して海外でも自分の預金を引き出せるようにして欲しいものです。
もう一度言いますがこれは単純に便利ですし、海外の旅行者にとっては当たり前のことなのですから。


そしてその逆に日本には海外のクレジットカード/キャッシュカードが利用できるATMが少ない、というのも問題。
ゆうちょ銀行やセブン銀行のATMが対応していますが、それ以外の銀行のATMのほとんどは海外発行のカードを受け付けない。
これは「外国人旅行者でも利用できるネット接続手段(プリペイドSIMやWiFiサービス)が少ない」と並ぶ日本を訪れた外国人旅行者が抱く不満点の一つとなっています。
こんな状況で何が「観光立国」「おもてなし」なのか、と言いたくなります。
ようやく3大メガバンクが自行ATMを海外発行のキャッシュカード/クレジットカード利用に対応させるとのことですが、この流れが地方銀行にも波及して、日本を訪れた外国人旅行者がどこへ行っても日本円の入手に困らないような環境がもっと広がれば、と思っています。


最後にJNB VISAデビットカードの話に戻しますが、このカード、ATMに挿入する方向でキャッシュカードとして利用するか、VISAデビットカードとして使うかを切り替える、という仕様になっており、これは間違いそうで怖い。
預金を引き出そうとしていつも通りの向きにATMにカードを挿入したら、VISAデビットカードによる引き出しになってしまいますから(=手数料がかかる。キャッシュカードとして利用するには逆向きにカードを挿入する必要がある)。
これは日本のATMには海外のそれにある「取引口座を選択する」という操作手順がないためでしょうが、銀行が発行するクレジットカード機能付きキャッシュカードの多くもそうなっていますから、慣れるしかないのかな。
あと海外での利用では紛失、盗難時にクレジットカードと同等のアシスタンスサービスは受けられない、ということにも留意が必要でしょうね(オンラインで即キャッシュカードの利用停止ができる、というメリットはありますが)。
って言うかここを見るとキャッシュカード等の紛失時のホットライン番号はフリーダイヤルのみとなっており、海外からはかけられない、というのは問題ではないのか…