au LTE(800MHz)のこの冷遇ぶりは一体…

先日のau LTE(800MHz)のカバレッジエリアについてのエントリは予想外の注目を集め、はてブのブックマーク数がこれまでで最高を記録したり、Twitterでのツイート数もこれまでにない伸びを見せたりと意外な程の反響に驚いています。


このau LTE(800MHz)、開始されたばかりのサービス、ということもあり注目度が高いはずですが、IT系情報サイトなどでサービスを実際に使った上での記事をほとんど見かけないのが不思議でなりません。
山手線一周スピードテストを敢行!!」「iPhone 5 vs Androidau 4G LTEの勝者はどっちだ?」といったタイトルの記事が溢れるか、と思ったものの、私が見つけることができたのは週アスPlusの次の記事ぐらい。


auのLTEルーターは実測13Mbps BlackBerryは速度9倍に


使用しているau LTE(800MHz)対応端末がスマホではなく法人向け(とは言え個人でも契約、購入可能)のモバイルルーターだったり、比較のために使っている端末がBlackBerryだったりと違和感ありありで、「iPhone 5を有利にするために意図的にそうした」としか思えないような内容。
利用できる周波数幅が2100MHz(iPhone 5)が5MHz、800MHz(Android端末)が10MHzで、最大通信速度は前者が37.5Mbps、後者が75Mbpsと大きな差があるため、普通にスピードテストを行なうとiPhone 5が負ける可能性が高いですからね。
それに加えてカバレッジエリアでも両者には大きな差があるにもかかわらず上記リンクの記事には「編集部が入るビル内では800MHzバンドLTEは圏外だった」とか(都心部で圏外、というのはウソ臭い)「iPhone 5ではLTEが利用できるが、au LTE(800MHz)対応端末では利用できない場所もあるかも」(普通に考えれば逆だろ)といったいかにも2100MHzバンドLTEサービスが800MHzバンドのそれと互角、またはそれ以上のカバレッジエリアを持っていると誤解させるような記事の書き方はどうかなぁ、と思いますし。
そういったことから考えるとauから「iPhone 5の販売に影響が出るから、800MHzバンドLTEサービスが有利になるような記事は書くな」という圧力がかかっている可能性が高そうです。
iPhone販売キャリアにはAppleからキャリアの規模に応じた数を売るようノルマが課されていることもあり、有り得ない話ではありません。


そういう視点で見ると先日博多駅前バスターミナル内のauショップスピードテストを行なった後に行ったヨドバシ博多のauコーナーの様子はちょっと変だったな、と思ってしまいます。
当然発売されたばかりのau LTE(800MHz)対応Android端末も店頭に並んでいましたが、そこには客の呼び込みなどを行なう販促担当の店員はおらずさほど賑わっていなかったのですが、iPhone 5のコーナーには複数の店員がいて懸命に客の呼び込みをしていて、けっこう賑わっていたのとは対照的でした。
販売を行なうショップ側にも「au LTE(800MHz)対応Android端末よりもiPhone 5を推せ」という指示がauから出ている可能性が高そうです。
価格がau LTE(800MHz)対応Android端末はiPhone 5よりもかなり割高に設定されているのもそういう事情によるものでしょう。
「利用可能なエリアの広さは圧倒的、そして通信速度もより高速」なサービスが、キャリアと端末メーカーの都合で冷遇され、隅に追いやられているのは消費者側からするといかがなものか、と思わずにはいられません。


先日のエントリでは「auiPhone 5向けのLTE(2100MHz)のカバレッジエリアマップを公表せず、対応エリアがある市区町村のリストだけを公表しているのはSoftBank対策?」といった趣旨のことを書きましたが、改めて考えるとこれもiPhone 5を売りたいがためにそうしている、と思えてなりません。
マップで視覚的に見せられると違いがはっきりしてしまい、カバレッジエリアが断然広く、その上通信速度もより高速なau LTE(800MHz)対応端末に客が流れてiPhone 5が売れなくなることをauが危惧している、というわけです。
とは言えマップによる直接比較ができない現状でもauのサイトで両者を比較すれば、800MHzバンドLTEサービスの方が断然カバレッジエリアが広いことはすぐに分かりますし(例えば福岡県内で800MHzバンドLTE対応エリアはあるが、2100MHzバンドLTE対応エリアがない市は10以上あることからも違いは明らか)、いずれは2100MHzバンドLTEサービスのカバレッジエリアマップも公表しないといけなくなるでしょうから、こういった消費者を惑わすようなことは止めて欲しいと思います。
これでは「客を騙すことしか考えていない」SoftBankと同じです(まぁ同じ「毒リンゴ」を食べたもの同士、ということかな)。
先日のエントリへのはてブのコメントやツイートを見てみると私同様このことに不満を持つ人が多いようで、そういったこともありiPhone 5向け2100MHzバンドLTEサービスのカバレッジエリアマップも早急に公開してもらいたいものです。
そして既にauiPhone 5を購入したユーザーが800MHzバンドLTEサービスとの圧倒的なカバレッジエリアの差で涙目にならないようauには2100MHzバンドLTEサービスのカバレッジエリア拡大にも力を入れて欲しいですね。