Band 26対応端末でドコモのBand 19 LTEを掴めるように?

先日Twitterで「Band 26対応端末(≒SIMロック解除au端末)でドコモのBand 19 LTEを掴んだ」という情報を見つけました。

気になったのでOnePlus 5Tを使い試してみることに。

Network Signal Guru(rootedアプリ、以下NSGと略)でLTE接続にBand 26のみを使う設定にし、TestModeで利用バンド設定を「LTE Only」にしてみると…

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ドコモのBand 19を掴めた!!

接続キャリア表示はドコモになっていながら接続周波数バンドはBand 26になっていますから、au系SIMを挿しているのではなくドコモのBand 19を掴んでいることが分かります。

これはドコモのBand 19基地局がMFBI(Multi Frequency Band Indicator)に対応し、Band 26対応端末からの接続を受け付けるようになったからとのこと。

MFBIって何? ということでそれについて調べてみましたが詳しい説明を見つけることができず、よって詳細は不明ですが基地局が本来利用しているものとは異なるものの、その周波数帯域を内包する上位バンドに対応している端末がその本来非対応の基地局からの電波を認識し、接続できるようにする仕組み、技術のよう。

俗に800/850MHzバンドと呼ばれる周波数バンドは5/6/18/19/20/26と6つもあり、それぞれの周波数域はというと…

                 (Uplink/Downlink)

Band 5  824~849/869~894(MHz)

Band 6  830~840/875~885(MHz)

Band 18 815~830/860~875(MHz)

Band 19 830~845/875~890(MHz)

Band 26 814~849/859~894(MHz)

 

Band 20 832~862/791~821(MHz)

Wikipedia"LTE frequency bands"より

これから分かることは…

Band 19はBand 6を内包

Band 5はBand 19を内包

Band 26はBand 5、18を内包

Band 18はBand 5、19と一部周波数がオーバーラップするが、それらとは別物

Band 20は上記バンドとは全く別物

ということになり、これを図で表すと

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この通りBand 19はBand 26の下位バンドとなり、利用する周波数的にはBand 26に対応する端末がBand 19の基地局に接続することが可能、ということになります。

ですからドコモのBand 19基地局がMFBIに対応していればBand 26対応の端末がそれを認識し、接続することが可能になる、というわけです。

って言うか最初からBand 6/19、18という日本でしか利用されていないガラパゴスバンドを利用せず、世界標準のグローバルバンドであるBand 5(ドコモ)、26(au)を利用していればこんな仕組みは不要だった(個人的には隠れFOMAプラス対応端末リストを作る必要もなかった)わけですが、それにも関わらずドコモ、auがこんなことをしたのは海外SIMフリー端末を排除したかったからじゃないのかな、と思っています。

キャリア端末よりも性能が高い上に安い海外のSIMフリー端末で自分たちが提供するプラチナバンド基地局を利用できてしまうと知識のあるパワーユーザーだけでなく一般のユーザーまでもが海外端末に流れてしまう、ということにもなりかねず、自分たちが販売する余計な機能、アプリが満載な上に値段も高い端末が売れなくなってしまうことをキャリアが危惧した、というわけです。

しかし国のインバウンド推進策により外国人観光客が多く訪れるようになり、キャリアの都合で国際非標準のガラパゴスバンドを利用している状況を見直さないと外国人観光客の「地方の観光地を訪れたら周りの日本人は普通にスマホを使っているのに、自分のそれは圏外」といった不満に繋がりかねないのでMFBIを利用して自社のガラパゴスバンド基地局にグローバルバンド対応の海外端末から接続できるようにした、といったことが事の真相なのでは、という気がします(あくまで私がそう思っているだけですが)。

 

Band 19に対応しないがBand 26には対応する端末でドコモのBand 19 LTEを利用できるようになったことでドコモ回線を利用するための端末選びにSIMロック解除au端末、という新たな選択肢が出てきた、ということになりそうです。

これだとドコモ、au両方のプラチナバンドLTEに対応する上に元々がau端末ですからauのVoLTEにも問題なく対応とドコモ回線向け端末よりも使い勝手が良かったりしますからね。

もちろんドコモ回線との相性は当然ドコモ回線向け端末の方が上ですが…

しかし現状では全てのドコモBand 19 LTE基地局がMFBIに対応しているわけではないようですし、Band 26対応au端末のモデムファームウェアの制御プログラムによってはMFBI対応のドコモBand 19基地局になかなか接続しない、もしくは全く接続しないといったことが有り得ますし、au端末でドコモのVoLTEを利用できるのか、というのも懸念材料。

au向けの端末はau回線に最適化されているから当然ですが、私がOnePlus 5Tで試した際もNSGで利用バンド設定をBand 26のみにするだけではダメで(3Gに落ちる)、利用バンド設定をLTE Onlyにする必要がありました(一旦LTEに接続できれば利用バンド設定をLTE Only以外(LTE/UMTSなど)に戻してもLTE接続を維持していましたが、再び3Gに落ちた後LTEへの再接続ができるかどうかは不明)し、au端末の3G(国際ローミング向けのW-CDMA)の対応バンドは1/5のみ、つまりFOMAプラス非対応となるためVoLTEが利用できなければ音声通話が利用できるエリアが狭くなってしまいます。

そういうわけで今ドコモ回線を利用するためにMFBIを当てにしてSIMロック解除au端末を選ぶのはリスクが高いでしょうね。

現状ではあくまで既にSIMロック解除au端末を持っていて、その端末でドコモ回線を利用する際に以前よりも使い勝手が良くなる、ぐらいに考えておいた方がいいのかも知れません。