これって資本主義社会に対する冒涜だろ


先日菅官房長官が「携帯料金は4割程度下げられる余地がある」という暴言を吐きました。
政府閣僚が民間企業に対して「値下げ余地があるのだから値下げしろ」などと安易に発言することには呆れと怒りしか感じません。
かつて「日本は世界で唯一経済的に成功した社会主義国家」などと揶揄されていましたが、まかりなりにも日本は資本主義国家、自由主義経済なのですから、政府が民間企業に対して「値下げできるだろ」などと安易に発言し、恫喝するのは資本主義社会の原則に反する行為であり、このようなことは絶対にあってはならないことなのですが、この国の政治屋や役人にはそれが分かっていないらしい。
そもそも家計の負担が云々言うのなら電気代やガス代も安くしろ、車に関係する税負担も軽くしろといったことも言わないとおかしいのに、当然そんなことは言わず携帯料金ばかりを狙い撃ち。
結局のところ携帯電話業界は政治家の既得権益や利権がない分野だからこのような行為に走っても平気と考えているのでしょう。
ですから当然メディアはこのような理不尽な行為を厳しく批判しなければならないし、キャリアも「NO」と言わないといけないはずなのに、そういったことは一切しないことに本当腹が立ちます。
いつものことながらメディアや企業の官に対して安易に傅く態度にはうんざりさせられますね。


そもそも既にMVNOやサブブランドという割安な選択肢があり、MNOから乗り換えれば携帯料金は4割カットどころか半額以下にもできるのに、そういう選択肢があることについてガン無視なことにも腹が立ちます。

既にそうなっているのに、そのような事実を知らないからこういう発言が出てくるのでしょう。
結局のところそのような選択肢があることを知らない、知ろうともしないITリテラシーの低い情弱のせいでこういう資本主義社会の原則に反した話が出てくるわけで、MVNOやサブブランドに乗り換え、MNOよりも安くて自由なモバイル回線を手に入れている私からすれば腹が立つのも当然です。
言うまでもなくこのような愚行が現実のものになるとMVNO事業者にとって厳しくなるのは必然で


根拠に乏しい「携帯料金4割値下げ」 MVNOつぶしになる恐れも - ITmedia Mobile


といった意見が出るのは当然と言えます。
つまり自分から携帯料金を安くする方法を探し、実際に動いて料金負担を軽くしている賢い消費者がMVNOの経営破綻、事業撤退などにより損をする、というおかしなことになりかねず、そのような消費者の一人である私としては怒り心頭、ふざけんなとしか言いようがない。
そしてこのような政府の圧力によって携帯料金自体が下がるとキャリアとしては利益を確保するためそれをどうにかして埋め合わせる必要が出てくるわけで、各種手数料の値上げ、キャリアショップ数の削減、ユーザーサポートの有料化、コールセンター番号のナビダイヤル化といったことで負担を減らそうとするでしょう。
ですから


「携帯料金4割値下げ」なら災害対策はどうなる? ドコモ担当者が語る - ケータイ Watch


キャリアが災害時の対応に問題が出る可能性も有り得る、という発言をするのも当然ですね。
そしてこれから展開が始まる5Gサービスにも影響が及ぶのは必至で、結局のところ料金は下がったものの全体的なサービスの質が下がってしまうという結果に終わりかねず、これって消費者が本当に望んでいることなのか、と思わずにはいられません。
そのような検証が全くなされていないところにもこの発言のグダグダさ、無責任さが現れています。


この件に関してはまだまだ書きたいことは多いのですが、それらについてはこのケータイWatchの記事


携帯電話料金4割引き下げは正しい指摘なのか? - ケータイ Watch


を紹介することにして割愛しますが、こういった問題を解決するには個人的にはSIMロックを禁止し、販売する端末は全てSIMロックフリーにすることを義務付けた上で回線契約と端末販売を完全分離し、消費者が利用したい回線と端末を自由に選ぶシステムにすべきだと思っています。
そしてキャリアへの周波数枠の割り当てはオークション方式とし、一番高い金額を提示したキャリアが周波数枠を獲得するという仕組みに変えるべき。
キャリアが総務省に傅き、今回のような理不尽な要求に対して何も文句を言わない、言えないのは周波数枠の割り当て権限が総務省の役人にあるため、彼らに忖度しないと周波数枠を割り当ててもらえなくなるというビジネス上の弱みを握られているからであり、オークション方式にすれば周波数枠が欲しければ他社よりも高い金額を提示し落札すれば済む話なので総務省の役人が介入する余地がなく、よってキャリアが彼らに過度に媚びる必要もなくなりますからね。


そして結局のところ
「携帯料金が高い、安くしたいと言うのなら自分で動け」
ということになるんですけどね。