Rakuten MiniにカスタムROMを焼く

先日(ようやく)Rakuten MiniにカスタムROMを焼きました。

以前root化した際に「小さいサイズを生かしてGPSログ取り端末にしたい」と書いたのですが、その後GPSログ取り端末として使う上で致命的とも言える不具合が出る事が判明。

上記過去エントリに書いた「GPS測位が遅い」もありますが、GPSログを取っているとロガーアプリが反応しなくなり、当然ログが途中から途切れてしまう事が多発するのです。

こうなってしまうと端末を再起動するしかなく、当然GPSログ取り端末として使い物にならない。

去年福岡近郊区間の大回り乗車をした際にRakuten MiniでGPSログを取っていたらこのせいでログを取りそこねましたし、そのため在来線特急かもめ葬式鉄の際は失敗できない事もありRakuten MiniをGPSログ取り端末として使わず、代わりに(大きくてかさばる)Galaxy Note 3(SM-N9005)を使いました。

この問題を解決するにはGPSロガーアプリを変える、カスタムROMを導入するという2つの方法が考えられますが、元々Rakuten MiniストックROM(純正ファーム)の様々な仕様(壁紙を変更できないとか)が気に入らないので後者にする事に。

しかしRakuten MiniのカスタムROMについての情報を(Google検索がゴミになったりといった理由で)なかなか見つけられないせいで手を出せずにいたのですが、最近になってようやく見つかりました。

 

Rakuten MiniにカスタムROMを焼く方法については

 

RakutenMiniにAndroid13を入れる方法|みお|note

に書かれている通りなので詳細については割愛しますが、要するにRakuten Mini向けのカスタムROMというものはないが、Project Trebleに対応する端末なのでそれ向けの汎用ROMイメージ(Generic System Image:GSI)を焼いて使える、という事になります。

汎用のROMイメージ、つまりRakuten Mini向けに作られたカスタムROMではないという事は当然利用できない機能があったり、動作が不安定だったりする可能性がありますし、そもそもROM焼きできない、できても起動できない可能性もあります。

というわけで気になるGSI ROMをいくつか試してみました(カッコ内の数字はAndroidバージョン)。

その結果はというと…

 

(利用できたもの)

Pixel Experience Plus(12)

LineageOS 18.1 MeowIce版(11 GAppsなし):GAppsインストール可
LineageOS 18.1 AndyYan版(11 GAppsなし):GAppsインストール不可

(利用できなかったもの)

Evolution X(13):"Try again"と"Factory Reset"しか選択肢がないリカバリーモードでしか起動しない
Pixel Experience Plus(13):同上
LineageOS 20(13):bootloaderモードでしか起動しない

 

となりました。

今回試したカスタムROMのうち最新バージョンであるAndroid 13のものは全滅、というのは残念。

そしてPixel Experience PlusはAndroid 12のものは動作するが、13のものはNGというのも謎。

開発者が違うから?

 

上記の検証の結果最終的に実運用用のROMとして私が選んだのはMeowIce版のLineageOS 18.1。

最初に試したのはPixel Experience Plusで(冒頭の画像もそれのもの)、OSバージョンやUIの洗練度ではこちらに分があったのですが、LineageOSに比べ機能が貧弱。

そしてLineageOS 18.1は開発者が異なる2つのROMを試しましたが、AndyYan版はセキュリティーパッチバージョンが古く、GAppsもインストールできないのでそういった事がないMeowIce版を選びました。

そのMeowIce版LineageOS 18.1、GAppsはインストールできるもののGoogle非認定端末と認識されてしまいます。

それなのにGoogle Playプロテクトがサイドロードしたアプリをブロックしようとするのはなぜだ…

その理由とおぼしきものがこれ。

本来「TINNO C330」であるべき端末モデル名が書き換わっています。

そのためGoogleサービスを利用するにはGoogleアカウントに利用端末の登録を行なう必要があります。

Pixel Experience Plusでは端末モデル名が書き換わる事はなく、当然非認定端末の警告も出ませんし、GAppsもプリインストールなので普通にGoogleサービスを利用可能(なはず)。

とは言えGPSログ取り端末として使う分にはGoogleアカウントを設定する必要はないので、この件に関しては特に気にしていませんし、端末登録もしていません。

 

カスタムROMを焼いたRakuten Mini、ほとんどの機能が問題なく動作し、動作も安定。

利用できないのはNFC/FelicaとeSIM周りの設定変更(eSIMの追加/削除)ぐらい。

eSIMの削除についてはPixel Experience Plusには端末リセットオプションの中にその項目がありましたが、基本的にeSIMをいじる必要が出た場合はストックROMに戻す必要があるようです。

ですからeSIM絡みの変更はカスタムROM焼きする前に済ませておくべき、というかeSIMを入れて使うべきではないでしょうね。

こういう事があるからeSIMオンリーの端末は不便だよな…

Magiskによるroot化、LSPosedの導入も問題なし(画像はPixel Experience Plusのもの。LineageOSでも同様に利用可)。

いずれも最新版をインストールし利用できます。

しかしTWRP上ですら/systemを書き込み可能(rw)でマウントできないのが不満だし謎。

これだとフォント変更やカメラのシャッター音消しができないので困ってしまいます。

カメラに関しては移植版GoogleカメラアプリをインストールしてもAndroid 11以降の制限からか設定項目に(ストックROMの時はあった)シャッター音ON/OFFを切り替える設定が存在しない。

この/systemをrwでマウントできない件、同じLineageOS 18.1をインストールした別の端末ではそんな事はないし、ストックROM(Android 9)の時も発生していない。

これだとカスタムROM焼き、root化した意味がないじゃん、と思ってしまいます。

それとexFATフォーマットされたUSB OTBストレージを認識できないというストックROMの問題が修正されずそのままなのもいただけない。

左はPixel Experience Plus、右はLineageOSのスクリーンショットとなりますが、exFATフォーマットのUSB OTGストレージ(ここでは128GBのmicroSDXCカードを挿したUSB OTGカードリーダー)を挿すとこのように「問題があります」という通知が出て、ストレージの設定では「破損している」と表示されます。

こんなの(少なくとも私の手持ち端末では)Rakuten Miniだけで、なぜこのような不便な仕様になっているのか、そしてカスタムROMで修正されていないのかが謎です。

汎用ROMだから?

 

そして私が最も気にしていたGPSログ取り端末としての使い勝手ですが、ストックROMで出ていた不具合もなく、長時間のGPSログ取りも問題なく可能。

これに関してはPixel Experience Plus、LineageOSいずれにも当てはまります。

4時間を超えるGPSログ取りなんてストックROMでは不可能な芸当でしたが、カスタムROMでは難なくこなせます。

GPSログ取り中のバッテリー消費も10%/hr程度とそれ程大きくなく、ストックROMに比べ大幅に改善され計算上は10時間近く連続してGPSログ取りできる事になりこの点でも満足がいく結果に。

そしてGPS測位速度も高速化。

ストックROM(左)ではAGPSが利用できない環境だと測位まで1分以上かかっていましたが、カスタムROM(右)では同じ条件で12秒と1分近い短縮に。

そしてAGPSが利用できると数秒で測位完了するのでストレスなくGPSログ取りができます。

要するにカスタムROMを導入した事で快適にGPSログ取りできる端末に生まれ変わったわけで、いくつか問題はあるものの汎用ROMである事を鑑みれば大半の機能が動作し、安定性も高い事に驚きですし、それ故満足度も非常に高い。

もっと早くカスタムROM焼きしていればよかった、と思わずにはいられません。

なので手頃な値段の中古が見つかればもう一台(赤)を買ってもいいかな、と思っています。

しかしRakuten Miniの中古、最近あまり見かけないし、意外と高いんだよな…

 

最後に言うまでもない事ですがカスタムROM焼きは「自己責任行為」である事をお忘れなく。